泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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経口避妊薬の歴史と課題

『性の健康  2017年3月』(発行:公益財団法人  性の健康医学財団)の
「こらむ」   “経口避妊薬の歴史と課題”
日本大学医学部   早川 智教授執筆です。

ピルに関する興味ある内容でしたので報告いたします。

①「性の健康 春号」  2017年3月

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<女性が自ら妊娠をコントロールする自由>

多くの生物で、性行動は生殖と同義である。

従って、雌は発情期以外、交尾をすることはない。

ヒトを含む霊長類の一部において性行動と生殖は分離した。

しかし、妊娠という負担を強いられるのは常に雌動物(女性)である。

コンドームを用いた避妊法は18世紀から存在したが、パートナーに
装着してもらわねばならず、女性が自ら妊娠をコントロールする方法は20世紀まで存在しなかった。

<サンガー女史とピンカス博士の出会い>

1950年代、米国において、社会運動家マーガレット・サンガー女史は中絶を減らすため、ペッサリーの普及に努めていたが、思うに任せなかった。

ニューヨークの晩餐会で出会った、生殖生理学者グレゴリー・ピンカス博士に、
「女性自ら行なえる確実な避妊法」を相談した。

ピンカスは、妊娠中に、排卵が起こらないのは、胎盤から大量に分泌される
黄体ホルモンの作用ではないかと考え、友人の産婦人科医ジョン・ロック博士に相談した。

ロックは既に不妊症患者に黄体・卵胞ホルモン剤の投与経験があり、
排卵が抑制されることに気づいていた。

<最初のピル>

1955年に、東京で開催された第5回国際家族計画会議で、ピンカス博士は、
プエルトリコの女性に、黄体ホルモン剤300mgを用いた臨床治験で避妊効果が得られたことを発表した。

日本でも日本医科大学の石川正臣を班長とし、「経口避妊薬に関する研究班」が発足し、1957年に、「ノアルテン錠」、1960年に、「エナビット錠」が、月経異常の治療薬として承認された。

②1960年第1世代のピルが出現した。

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<第一世代ピルと血栓症>

1960年、FDAは、ノルエチノドレル9.85mgとメストラノール0.15mgの
ホルモン配合剤「エナビット10」を経口避妊薬として承認した。

しかし、これら高容量ピルは悪心・嘔吐などの副作用が強く、黄体ホルモン量を
減らした「ノアルテンD」「エナビット5」「アノブラール」「リンデオール」などが開発され普及していった。

しかし、早くも1961年に血栓症の報告があり、続けて乳癌や子宮頸癌(今から思えばHIV感染のリスクを高めるものだった)、肝障害などの報告が相次いだ。

これらの副作用はエストロゲンの量に依存すると推定され、いかにその量を減らすかが問題となった。


<低容量ピルと虚血性心疾患>

その後、1日当たりのエストロゲン量を50μg未満にするべきというFDAの勧告を受けて、新たな低用量ピルが開発されたが、ノルエチステロン系の黄体ホルモン剤では、内膜維持作用が不十分で不正出血の頻度が高いという欠点があった。

そこで、ノルエチステロン18位のメチル基をエチル基に代えたノルゲストレル製剤が開発された。

低用量ピル「マイクロギノン」の登場である。これによりピルの服用率は急速に伸びていった。

しかし、35歳以上で喫煙者の女性では虚血性心疾患のリスクが増加することが判明し普及は頭打ちになった。

<新世代ピルの普及>

その後、血中のLDLコレステロールを増加させるのは、エストロゲンではなく
ブロゲストーゲンが有するアンドロゲン作用であることが判明し、
黄体ホルモン剤の量を減らす努力がなされた。

そして1980年代にはプロゲステロンレセプターに特異的に結合する。

デソゲストレルやゲストデンが開発された。これらは、アンドロゲン作用が抑えられ、
LDLを上げずにHDLを上昇させる作用がある。

今日使用される「低用量ピル」は、エチニルエストラジオールで20-40μg、
黄体ホルモン剤はノルエチステロン、レボノルゲストレル、デソゲストレル、
ゲストデンなどで副作用は極めて限定的である。

③新世代ピルの普及

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<ローマ 教皇庁の見解と今後の課題>

2017年2月18日、ローマ教皇フランチェスコは「避妊は絶対悪ではない」という見解を述べ、ジカ熱の脅威にさらされる女性の権利を容認する立場を明らかにした。

保守的なカトリック教会が2000年来初めて、妊娠をコントロールする自由を認めたことになる。

しかし、ピルの普及によるコンドーム使用の減少とSTIの増加は表裏一体の関係にあり、手放しに喜ぶことはできない。医療者としてはピルの利害損失を十分に啓蒙する必要があろう。


④ピルの普及によるコンドーム使用の減少とSTIの増加は表裏一体

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2017年05月07日 | トラックバック (0)

コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

研究論文として 「医学と薬学」( 第74巻 第2号 p.189~199 共著)に

TACASを用いたcobasHPV測定論文が掲載されましたので報告いたします。


2017年1月27日 発行  (株)自然科学社

林 聖子:(株)医学生物学研究所

柏原愛子:ロシュ・ダイアグノスティックス(株)

佐伯健二:公益財団法人 愛媛県総合保健協会

尾上泰彦:宮本町中央診療所

①「医学と薬学」 論文掲載誌

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 【はじめに】

子宮頸癌の発症はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因とあると

言われており、中でもHPV16型および18型の持続感染は、前がん病変へ

の進行リスクがその他の高リスク型HPVに比べて高いとされているため

早期発見、早期予防が重要となります。

子宮頸癌の早期発見については、細胞診検査が主な検査法でありましたが、

近年HPV DNA検査との併用検診により、感度、特異度ともに向上することが

報告されています。

②コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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③コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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 今回、検討を行った「コバス4800システムHPV」(コバスHPV)は、PCR検査用

自動測定装置を用いて核酸抽出から核酸増幅・検出まで全自動で実施し、

HPV16型および18型の同定と、HPV16、18型以外の12種類の高リスク型

HPVを一括で検出します。現在、国内において普及しているHPV一括検査試薬

としても臨床的有用性が確認されており、子宮頸癌への進行リスクが特に高い

女性を鑑別し、子宮頸癌予防へ繋がることが期待されています。

 

④コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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⑤コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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また近年、国内において普及している液状化検体細胞診(LBC:Liquid-based cytology)は、

専用の固定液の中に細胞を回収することで細胞診標本の標準化を図るだけでなく、

DNA検査をおこなう際の保存液として有効活用されています。

 

⑥コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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現在、国内で流通しているLBCは数種類ありますが、国内において開発されたLBCシステム

TACAS保存検体を用いて、コバスHPVで最小検出感度および2~8℃と30℃保存条件

下におけるDNA保存安定性を確認したので報告いたします。

  

⑦コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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【結語】

LBC検体は、1回の細胞採取で細胞診検査からHPV DNA検査などの追加検査まで実施

できるため、受診者にとって負担が少なく非常に有用なツールであります。

今回のコバスHPVを用いたTACAS検体でのHPV DNA保存安定性検討においては、

2~8℃保存および30℃保存で6週間安定しておりメーカー保証の4週間の保存安定性が

確認できたとともに、細胞診標本作製前後の検査において測定を行うにあたり十分な

保存安定性を有していることが示されました。

 

⑧蝶

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2017年02月06日 | トラックバック (0)

肛門のデキモノについて (女性)

30代の女性から肛門のデキモノについて相談がありましたので報告いたします。
 
【相談内容】

肛門のデキモノが気になります。
 
私はかなりの便秘症なのですが、先日、朝時間がなくていつも以上に力んだところ
 
何かが穴の付近に挟まっているような感覚がしました。
 
最初は違和感しかしなかったのですが、今日になり若干痛みを感じ確認したところ、
 
血豆のような物と疣のようなものが出来ていました。(大きさは直径1.5cmくらいです)
 
肛門付近が腫れているわけでもなく、熱っぽくもなく、ちょっと違和感がある程度で、
 
自然と治るものだろうと思っているのですが、ただの痔(?)ではないのでしょうか…?
 


①肛門、直腸脱 (画像はネット上より取得)
尿道口から漿液性の分泌物が排出されています。

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【回答】
大変、気になりますね。
 
肛門、直腸の粘膜が、少し飛び出ているのかもしれません。
 
そのまま放置しておくわけにはいきません。
 
消化器外科あるいは肛門の専門外来を受診して安心いたしましょう。 お大事になさってください。


③千疋屋のマンゴカレー

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2016年07月22日 | トラックバック (0)

急性出血性膀胱炎(10代後半の女性)

10代後半の女性から膀胱炎について相談がありましたから、報告いたします。
 
【相談内容】

私は10代後半の女性です。

数日前から膀胱炎っぽくなり、残尿感や排尿した後の違和感があります。

トイレが近かったり、1回で少量しか尿がでなかったりです。

最初は直ぐ治ると思っていたのですが、少し経ち、排尿時に力を入れてすると
トイレットペーパーに、ピンクっぽく血液が付いたり、血の塊が出たりしてきました。

病院に行った方がいいのでしょうか?

原因はなんなのでしょうか?


【回答】

びっくりだし、大変つらい症状ですね。

貴女のお話しから、推察するに典型的な急性出血性膀胱炎が考えられます。

性的接触の後に生じることが多くみられます。

膀胱炎の病原菌は70~80%が大腸菌です。

急いで泌尿器科を受診してください。

医師が処方する抗生物質を服用すれば直ぐに良くなりますよ。
 
心配いりません。水分は大目に取りましょう。

お大事になさってください。


①月の光

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②善光寺の池

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③冨田勲

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2016年06月17日 | トラックバック (0)

「排尿時の矢状面の女性尿道の動きに関する研究」

2011年の暮れに起きた大変興味あるエピソードについて報告いたします。

 日本大学医学部泌尿器科学教室の主任教授の高橋悟先生から、

「女性の排尿時の排尿に関する筋肉の動きを研究したいので、

被験者になってくれる健康な成人女性を探してほしい」とのご依頼がありました。
 
私は、その時ある女流作家を、頭に思い浮かべました。
 
その作家に連絡し、事情を話すと「良い女性がいますから連絡してみます」
 
ということになりました。
 
そこで高橋悟先生と私、そして女流作家と被験者の女性、
 
つまり4人でその研究についての詳しい説明会を某ホテルで行いました。
 
なんとその被験者の女性から、快くその研究に協力したいと言っていただきました。
 
驚くことに、その被験者の女性も女流作家でした。
 
こうして、研究実施の日を待ちました。
 
年が明けて2012年の正月早々、その日が来ました。
 
実はこの研究は京都府立医科大学泌尿器外科教室の名誉教授の渡辺泱先生と
 
高橋悟先生の共同研究です。
 
その研究論文:『前立腺前部筋繊維構造(AFMS)は尿道筋だった!』

渡辺記念長命研究所 渡辺 泱

以下に、渡辺先生の投稿会誌「橘鴨会誌」第25号 2015年11月29日発行(p4~9)、
 
発行者:京都府立医科大学泌尿科学教室同門会の論文抜粋要旨をお示しします。
 
前立腺前部筋繊維構造(AFMS)の機能を発見した時点では
 
「前立腺の一部が排尿機構に関与している」ものと考えていた。
 
つまり男性に特有の機構だろうと理解していたのである。
 
しかし私は、その機構がどのように機能しているのかを推理しているうちに、
 
どうしても女性尿道は排尿時にどうなっているのかを知りたくなった。
 
すでに経直腸的実時間リニア超音波断層法はあれほど広く普及していたのに、

まだ排尿時の女性尿道を見た人は一人もいなかったのである。
 
そこで浮村先生にもぜひ女性尿道を調べてみるよう勧めていたのだが、

適当な被験者を見つけるのが困難だった。
 
日本大学泌尿器科学教室の高橋 悟教授は私の年来の学友である。
 
以前からいろいろなところで会っては、いろいろな研究上の問題をお互いに
 
討論しあっていた。
 
何かの折にこの女性尿道についての宿題を私から耳にしていた教授は、
 
2011年の暮れに突然電話で「良い被験者が見つかりました」と連絡くださった。
 
何でも川崎で泌尿器科クリニックを開業している、教室の同門会長の
 
尾上泰彦先生が、知り合いに被験者になってもいいと言ってくれている女性がいる
 
という話である。
 
この千載一遇の好機を逃がしてはならじと、超音波の描出には完璧を期すために、
 
これも年来の学友の婦人科超音波における本邦の第一人者千葉喜英先生
 
(前国立循環器病センター産婦人科部長)に走査の実施を依頼し
 
(この先生でなくてはこんなに綺麗な画像は得られなかったことが後から分かった)、
 
明けて2012年の正月早々、二人で日大泌尿器科の診察室を訪れた。
 
そこに待っていたSさんは、最近自身が執筆した推理小説が賞をとったと
 
いう大変魅力的な女性で、よく研究の意義を理解した上で検査に協力してくれた。
 
後でこの研究を発表した私たちの論文の女性尿道の附図が、
 
当月号のInternational Journal of Urologyの表紙絵に選ばれたので、

その号を一冊Sさんに献呈したところ、「私の尿道が学術雑誌の表紙になった」と、
 
大変喜んでいただいた。

さて、こうして得られた排尿時の矢状面の女性尿道の動きを見た途端、
 
その場に居合わせた泌尿器科医たちは一斉に驚きの声を挙げた。

女性尿道は、その前方と側方を内層縦走平滑筋と外層輪状横紋筋の

二重の筋構造から成る厚い筋束に囲まれているが、後方にはほとんど

筋構造がなくそのまま膣前壁に固定されている。

両面の上の超音波画像では、排尿開始時に膀胱収縮に先立って

この筋束が見事に前後方向の厚さを減じ、積極的に尿道を拡張させ、

排尿が終了すると同じ筋束が今度は膨隆して尿道腔を完全に閉鎖するのが、

手に取るように見えたのである。さらにその構造と動き方は、

すでに私たちの業績で明らかになっていた男性におけるAFMSのそれと

ほとんど同一といってよいほどよく似ていることが、一目で了解できた。

両者の僅かな相違点は、女性尿道はAFMSに比べてより筋の厚さが薄く、

より直線的であっただけだった。

以下は省略する。


橘鴨会誌

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正常女子の排尿時における尿道の実時間経膣的超音波断層像(矢状面)尿道前方の筋束が前後方向の厚さを減じて積極的に尿道を開大させている。

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迎春

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2016年01月04日 | トラックバック (0)

女性に多い4つの性感染症 後編

今回の後編は、引き続いて女性に多い性感染症についてお話します。

③ 淋病感染症について

男性では尿道、女性では子宮頚管に感染することが多い病気です。

ビックリな事実ですが、オーラルセックス増加により咽頭に感染する女性が増えています。

さらに、アナルセックスにより直腸に、手指が動くことにより眼にも感染します。

女性では膿みのようなのおりもの、不正出血、下腹部痛、排尿痛があります。

*バルトリン腺に感染するとバルトリン腺部が腫れ、強い痛みが出ます。

おそろしいのは、女性の約70%は症状がでないということです。

すると、治療をしないまま男性にうつしてしまうことになります。

そして、後に彼と別れた場合、彼は別の彼女にうつしてしまう。

これが永遠のループでつながってゆきます。

無症状に経過すると卵管炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎と感染が拡がっていき、不妊症になる可能性もあります。 

次に④ 尖圭コンジローマについて簡単にお話しします。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によりできるイボの一種です。

性器の周りや肛門周辺にできます。潜伏期間は数週間から8ヶ月と長いので、複数の彼とエッチしていると誰からうつされたのかわからなくなります。

もしもHPV16型、18型に感染すると女性では子宮頸癌になる恐れがあります。

最後に、愛のある健康なセックスをしましょう。

「今日はコンドームなくていいよね」と耳元でささやく彼に負けてはいけません。

妊娠だけでなくSTIから自分を守るという意味で、彼とはちゃんと話合うようにしましょう。

また、喉や眼にも菌が感染することは覚えておきましょう。

*バルトリン腺:女性の腟口の左右に一対存在する分泌腺

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2014年07月10日

女性に多い4つの性感染症 前編

2回(前編・後編)にわたって、女性に多い4つの性感染症(STI= Sexually 

Transmitted Infections)について簡単に勉強しましょう。

エッチのあと「なにか下半身がいつもと違う、おかしい」と感じたら要注意です。

彼が、STIにかかっているかもしれません。もしかしたら、彼から移されたかもしれません。

複数の彼がいる場合は、マジでもっとリスクが高くなります。

 しかし、症状が出ればまだ、いいのですが、症状が出ないと、検査や治療につながらず、後で身体が大変なことになり、心にも大きな傷ができてしまいます。

 

まず、① クラミジア感染症について簡単にお話しします。

クラミジアは、現在もっとも多く、性感染症の約半数を占めます。

10歳代後半から、20歳代のもっとも性行動が盛んな年代に多く、とくに女性患者は男性の2倍以上です。

感染すると帯下(おりもの)の増量、不正出血、下腹部痛、性交痛、排尿痛などの症状があります。

しかし約70%は症状が出ないとも言われ、放置すると不妊症になる可能性もあります。

この菌が手指を介して眼に入ってしまうとクラミジア性封入体結膜炎(濾胞性結膜炎)を起こす場合もあります。「目がまっ赤だよ!」「性感染症かも」という会話ができるくらい意識しておくとよいでしょう。

次に② 性器ヘルペスについて簡単にお話しします。

性器ヘルペスが初めてできると、性器、その周辺に小さな水疱、ただれが左右対称性にたくさんでき、痛みやかゆみが出ます。熱が出たり、足の付け根のリンパ腺が腫れたりします。

女性では膀胱炎症状も見られます。再発を繰り返す場合があるので必ず専門医を受診し診てもらいましょう。

次回後編は淋病感染症、尖圭コンジローマについてお話しする予定です。
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2014年07月10日

排尿時の痛みについて

 女性から排尿痛について相談がありました。今回はこの排尿痛についてお話いたします。

【相談】25歳の女性です。

排尿時に時々痛みがあります。膀胱炎には数回なったことがありますが、その時ほどは痛くありません。なので、いつも病院にいかずに様子をみていると気づいたら痛くなくなっています。一度、検査した方が良いでしょうか?

【回答】
まず、急性単純性膀胱炎についてお話します。頻尿、排尿痛、混濁尿が典型的な膀胱炎の3徴候です。

排尿痛は排尿終末時痛が特徴です。しかし、排尿初期痛であれば女性でも尿道炎を疑う必要があります。

また膀胱炎症状に伴って発熱や鼡径(そけい)部のリンパ節が腫脹し(はれて)痛みがあれば、性器ヘルペスの初感染を考えなければなりません。排尿痛を繰り返すのであれば、性器ヘルペスの再発時の排尿痛が疑われます。

 症状だけでは診断がつかないこともありますから、ご心配であれば一度、専門医を訪ねることをお勧めいたします。

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2014年07月06日

「ガードネレラ腟炎」って何ですか?

先日、ある妊婦の方からご相談を受けました。
現在妊娠8ヶ月になるという彼女は妊婦検診の際の検査で『ガードネレラ腟炎』だと言われ、
現在治療中だということでした。
しかし、女性器のかゆみが止まらず、「この『ガードネレラ腟炎』というのは、
一体どんな症状が出るものなのか?」というお尋ねでした。


たしかに、これをお読みになっている皆さんのなかにも「ガードネレラ腟炎」
とう言葉は初耳だ、という方もいらっしゃるかもしれません。
これは細菌性腟症の一つの言い方なのですが、現在はこの呼称はあまり用いられていないからです。
「細菌性腟症」というのはは常在菌(健康な腟の中にいるバイキン)のバランスが
崩れて起こる病気で、これというはっきりとした原因微生物はありません。


細菌性腟症は、一昔前までは非特異性腟炎、ガードネレラ腟炎、ヘモフィルス腟炎、
嫌気性腟症などとして知られていましたが、現在では腟内の細菌叢から好気性菌ガードネレラ菌、あるいは嫌気性菌グループの細菌などが,異常に繁殖し、数の細菌感染として起こる状態とだ考えられています。
しかし病気の原因は未だ完全には解明されてはいません。
いい機会ですので、ここで、細菌性腟症についてちょっとお話しましょう。


細菌性腟症とは、腟内の乳酸桿菌の菌量の減少に伴い、いろいろな好気性菌や嫌気性菌が、
正常腟内で異常に繁殖している状態です。別の言い方をすれば、腟内の中でカンジダ、トリコモナス、淋菌などの特定の微生物がいないのに起こる炎症を、非特異性腟炎、または細菌性腟症といいます。


細菌性腟症の約半数は症状が無く、自覚症状も帯下(オリモノ)の訴えは軽いものです。
実際に診察してみると、腟分泌物の多くは灰色で、漿液性(ミズっぽい)です。
ときに悪臭を訴える場合もあります。
腟分泌物の量も多くなく、腟壁にも明らかな炎症所見はみられません。
一般的に細菌性腟症では痒くなりませんから、この相談者の訴えているかゆみの原因は
他にあると思われます。


健康な女性の腟にはさまざまな常在菌が存在しますが、その75~95%を占めるのが乳酸桿菌属です。腟には非常に強い自浄作用があり、それは、いわゆる善玉菌ある乳酸桿菌属の働きによるところが非常に大きいのです。
乳酸桿菌属はグリコーゲンを分解して乳酸を産生し、腟内をpH4.5以下の酸性に保つことで
雑菌の入を防いでいます。
ところが何らかの原因で腟内の細菌叢のバランスが崩れるとにより、細菌性腟症が起こるのです。


今回のご相談者は妊娠後期の方でした。この時期に細菌性腟症を起こしますと、
早産、新生児の肺炎・髄膜炎・菌血症などの感染症の原因となることがあります。
ですから、妊娠中の細菌性腟症は、特に積極的に治療されることをおすすめしています。


細菌性腟症の治療には、局所療法と内服療法とがあります。治療の基本は、
局所法であり、クロラムフェニコール腟錠100mgまたはメトロニダゾール腟錠250mgを
1日1回、腟の中に挿入するだけです。内服療法の場合は、メトロニダゾール1回500mgを
1日2回、7日間服用する方法です。
妊娠中には、ペニシリン薬アンピシリンまたはアモキシシリン500mg1日4回、
7間服用する方法もあります。


最後に性的パートナーについても触れておきますと、細菌性腟症は、性的パートナーの
多い女性がかかりやすいと言われています。
しかし、性感染症とは決めつられない側面があり、現在は、性感染症というよりセックス関連疾患と考えらていることも申し添えておきます。

2008年12月15日

若い女性に増加する子宮頸癌

平成20年2月28日 けいゆう病院で行われました、横浜市産婦人科医会の講演会に出席してきました。
講師は金沢大学准教授の笹川寿之先生でした。
演題は『若い女性に増加する子宮頸癌:子宮頸癌ゼロへのアプローチ』でした。
その中で、子宮頸癌の検診は従来どこの産婦人科でも子宮頸部の細胞診でしたが、これからの検診はHPV-DNA検査が主流になる可能性が高いという。
この話が印象的でしたので、今回はその報告をいたします。
テーマは『若い女性に増加する子宮頸癌』にいたしました。
 
《子宮頸癌の特徴》
1.子宮頸癌の罹患率はこの20年間ほとんど減少していない。
2.20~30歳代の女性では、罹患率のみならず、死亡率も増加する傾向にあります。
3.ヒトパピローマウイルス(HPV)感染は若い女性に最も多い性感染症である。
4.子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因である。
5.性交開始年齢の若年齢化に伴って子宮頸癌発生の若年齢化はすでに始まっている。
6.子宮頸癌を誘発する高リスク型HPVは15タイプ以上あり、その中でHPV16型感染は最も危険である。
 
《子宮頸癌ゼロへのアプローチ》
1.細胞診に比べHPV検査のほうが頸部異常の検出感度が高いことは明らかである。
2.HPV検査は異常検出感度が高く、将来の悪性化を予測できる利点もある。
3.これからの子宮頸癌検診では、HPVーDNA検査が主体になる可能性が高い。
4.細胞診をHPV検査の補助診断とするほうが有効かつ経済的である。
5.現在臨床治験が進行しているHPVワクチンはHPV16,18型感染を予防するものである。
6.このワクチンは深刻な副作用はほとんどない理想的ワクチンである。また、一度接種すると10年間は有効である。
7.このワクチンを性交経験前の女子全員に接種すれば、子宮頸癌を半分以下に減少させることが可能である。
8.さらにHPV検査を主体にした検診を3-5年毎に行うことによって、子宮頸癌の発生を限りなくゼロにできると考えられる。
9.これまで、日本の子宮頸癌が減少しない理由は、細胞診の精度よりも、むしろ低い検診受診率が原因と考えられる。
10.これからは検診受診率を如何にして上げるかの環境作りにかかっている。
 
以上報告いたしました。少し難しかったかもしれません。
そうなんです。難しんです。それではごきげんよう!

2008年02月29日 | トラックバック (0)

女性用コンドーム『フェミドーム戦略』

日本で女性用コンドームを入手することは難しいことでしたが、2006年に不二ラテックス(株)が新たに輸入販売を始めました。
『フェミドーム』の名で日本のコンドーム市場にデビューしてきました。
英国からの輸入品で、男性用コンドームとは比べものにならないくらい、値段が高い。
女性用コンドーム『フェミドーム』は1箱3枚入りで2,000円である。
ただ、女性用コンドームを必要とされている方は、値段が高くても購入されるでしょう。
市場にない状態よりは、いつでも買えるということが大切だと思います。
確かに待ち望んでいた女性、この発売を喜んでおります。

でも女性用コンドーム『フェミドーム』てなに?
知らない人も大勢いると思っていましたが、 20代、30台の女性の50%以上の方が女性用コンドームの存在を知っていたんですね。
これはアンケートで判ったことです。正直びっくりいたしました。
でも使用したことはありますかというと。それは10~15%程度でした。
皆が使用するようになれば値段もかなり安くなることでしょう。

女性用コンドーム『フェミドーム』はポリウレタン製で、女性が自らの意思で主体的に装着できる 女性の性生活をサポートする商品です。
ドラックストアやコンビニで“ウーマンコーナー”でも設けて、女性が少しでも抵抗なく購入できるように なることを期待したいですね。

女性用コンドーム『フェミドーム』は初めて使用する時は、多少不便さはありますが、慣れれば快適です。 もう手放せない、という女性もおります。
女性用コンドームは、男性用コンドームとは違って体にぴったりとフイットするものでは ないので粘膜の弱い方などに必要とされていますし、産後の女性に良いと言う産婦人科の医師もいます。
女性用コンドーム『フェミドーム』は、腟内だけでなく外陰部もおおうため、男性用コンドームよりさらに 性感染症予防に効果的です。

男性諸君、貴方の彼女と次回、トライアル!トライアル!
ハッピー!まちがいなし!

2007年09月18日 | トラックバック (0)

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