泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2008年09月30日

「目で見る性感染症」

私の講演会が松山市でありましたので報告いたします。  2008.9.14.
 
愛媛県耳鼻咽喉科医会講演会
 
日時:平成20年9月14日(日)
 
場所:愛媛県医師会館 2階 第一研究室
 
特別講演 「目で見る性感染症」
 
 
座長 :愛媛大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科
講師  比野平 恭之 先生
 
演者 宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦
 
このような機会をいただきました、愛媛県耳鼻咽喉科医会に感謝申し上げます。
 
また、学術担当の木谷伸治先生には大変お世話になりました。
 
厚くお礼を申し上げます。
 
以下に講演要旨を示します。


【講演要旨】

『 目で見る性感染症 』
性感染症は異性間あるいは同性間で性の営み、性行為があって初めて生じるという、大変人間性豊かな病気であり、誰もが感染しえる疾患群である。
また“性感染症を疑うポイント?”とは本人が、何時、何処で、誰と、何をしたのか、どんな事象が起きたのかの検証ともいえる。
外陰部はパートナーと濃密に接触する性行為の主役を果たす性器としての特異性とともに、皮膚粘膜、特に排泄口への移行部、各種の付属器官が豊富、皮膚が菲薄で柔軟であるなどの特性があり性感染症の好発部位となりえる。
性感染症の臨床現場においては、教科書でみるような「これが性感染症だ」という典型的な症例ばかりではない。
そのため,性感染症の診断には問診技術と視診技術が重要となるが、今回は特に視診技術に関して述べる。
私が経験しえたクラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス、梅毒、尖圭コンジローマ、ケジラミ症、性器伝染性軟属腫、腟トリコモナス症、性器カンジダ症、軟性下疳などの性感染症症例を中心に臨床写真を提示しながら視診技術のポイントについて言及し「これが性感染症だ」の実態に迫る。
多くが演者の臨床経験に基づいた(エビデンスに基づかない)内容であるが、パンツの中に隠された、驚くような性感染症の情報をご覧いただき、実際の診療に役立てていただければ幸いである。
 
以上、報告いたします。

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投稿者 aids : 18:16 | トラックバック

2008年09月29日

私のあそこが独特な臭いがするの!どうして?

【相談者】
19歳 女性/未婚 子供無


【相談内容】
私のあそこの臭いが…大変気になる!
私は腟の中を洗っている訳ではありません。
性感染症もありません。セックスしている時だけ独特な臭いがするらしいのです。
彼が教えてくれました。それは当たり前なことなんでしょうか?
この臭いをなくしたいですのですが、どうしたら良いのでしょうか?


【回答】
「私は腟内を洗っている訳ではありません。」
「性感染症もありません。」
「セックスしている時だけ独特な臭いがするらしい!」

確かに腟の中を洗っていると“清潔は不潔”と言って、それだけで細菌性腟症となり、臭いが出てくることがあります。貴女は帯下(おりもの)もなく、腟の中を洗ってもいない。
となると細菌性腟症は心配ないようです。

貴女の相談内容からすると、彼も性感染症ではないようですね。
でも“セックスしている時だけ独特な臭いがする”。
これは彼が臭いを感じて貴女に報告したわけですね!
普通の男性であれば、女性に“身体の臭い”のことは話にくいし、話せないない事の方が多いと思います。
ましてや、あそこの臭いとなると、まず話はできないでしょう。
貴女がそれで思い悩むことを考えると、とてもできません。
彼もさぞかし貴女に話して、良いものやら悩んだことでしょう。
「女性」としての魅力まで損なわれたような気持ちにさせるからです。
でも貴女の彼は貴女のあそこの臭いを指摘してくれました。
しかも“独特な臭いがする”という言葉で、貴女にあまりなストレスを与えないように考えた言葉だと思います。
普通の男性であれば、何も言わないで逃げ出したでしょう。
貴女を心から受け入れているからこそ、できることではないでしょうか。
彼に感謝してください。彼が貴女を真に受け入れてくれているのであれば、この臭いについて、彼と共に努力し解決してください。
貴女一人では、この臭いについて闘えないかもしれないからです。

相談内容から、私の浅学な考えでは、おそらく「すそワキガ(すそ腋臭・外陰部臭症)」だと思います。
陰部付近のアポクリン腺から発生するニオイだと考えます。
すそワキガのほとんどは女性にみられることが多いといわれています。
産婦人科やレディースクリニックで『すそワキガ』に詳しい先生に相談されたら、改善方法があるはずです。
臭いなど気にならない、豊かな性生活を迎えられることを心より願っています!

投稿者 aids : 10:57

病気なの?子供産めるかしら!?心配・・・

【相談者】
27歳 女性・既婚・子供無


【相談内容】
①以前、同時期にクラミジアとトリコモナス膣炎にかかり、病院から処方された抗生物質を服用しました。 その後旦那の仕事の都合で引っ越す事が決まり、かかりつけの病院も変わりました。
②新しい病院に変わってから再検査を受けたところクラミジアは(-)でした。
トリコモナス腟炎の方は何も言われないままクラミジアが(-)だったら、先生は大丈夫だと言っていましたがどうも納得いきません。
③何回か不正出血もあり先生に告げると、子宮の入口が赤くただれてると言われ、出血もそのせいだといわれました。
④その炎症を抑える腟錠をもらいましたが、何かまた別の病気ではないかと不安で仕方ありません。
⑤普通に妊娠できますか?


【回答】
①貴女は以前、「クラミジアとトリコモナス腟炎にかかり某産婦人科で処方された抗生物質を服用した」この件に関しては、クラミジアは適切な抗生物質を服用すれば治癒いたします。が、トリコモナス腟炎に対してはどのような処置をしたのでしょうか。
トリコモナス腟炎の治療には内服薬と腟坐剤がありますが、如何したのでしょうか?
貴女は「抗生物質を服用した」とありますが、「トリコモナス原虫用の内服薬とクラミジアの抗生物質を同時に服用したのではありませんか?」
病院でもらった薬の説明書があるでしょうから、何を服用したのか一度チェックしましょう。


②貴女は新しい病院にて再検査を受け、
「クラミジアは(-)でした。トリコモナス腟炎に関しては何も言われなかった」
「先生は クラミジアが(-)だったら大丈夫だと 言っていましたがどうも納得できない」
とありますが、婦人科外来での検査にて先生が何の検査をしたかのかがポイントです。
勿論、クラミジアの検査をして後日、検査結果の報告を受け、陰性でした。検査当日、その先生は子宮頸管・腟分泌物の塗抹検査(顕微鏡検査)をしてトリコモナス原虫がいないことを確認していたのかもしれません。先生の説明不足かもしれません。事実はわかりませんね。


③貴女が何回か不正出血もある」と告げると、先生は「 子宮の入口が赤くただれているせいで、出血もそのせいです。」と言った。
先生の説明のとおり、若い女性の子宮腟部は生理的に糜爛(ビラン)がありただれています。
ただれていますから、出血しやすい状態にあります。またこの生理的な糜爛(ビラン)というタダレは、妊娠には必要な状態だといわれています。


④貴女は
「その炎症を抑える腟錠をもらいました」
「何かまた別の病気があるのでしょうか?」
「不安で仕方ありません」
これはこまりましたね!病院で「炎症を抑える腟錠」を投与されたのですから、その説明書を見れば、何の薬かわかるはずです。貴女に対する先生の説明不足と貴女の理解度にも問題があるようです。
これは失礼いたしました。


⑤「普通に妊娠できますか?」
これもこまりましたね!「子は神からの授かり者ですからね!」
先ずは、神にお祈りいたしましょう!私からもお祈りしておきます!合掌・・・・・・・・・・!


さて、クラミジア感染症の一番の問題点は、後遺症である不妊症です。クラミジアに対し適切な抗生物質を服用終了後、2週間以上経ちましたら、クラミジアの治癒判定検査(遺伝子増幅検査PCR法、SDA法など)を受け、治っていることを確認いたしましょう。そして安心いたしましょう。検査はすべて保険でできますよ。


最後に、貴女には「心に平和」がありません。
再び新たな婦人科を訪れ「クラミジアとトリコモナス」について検査を受け心に平和を取り戻しましょう。
そして健康なセックスをし、健康な赤ちゃんを授かりましょう。


それでは、ごきげんよう。

投稿者 aids : 10:46

2008年09月16日

小陰唇が黒ずんでる!これって性感染症なの?!

【相談者】
22歳の未婚女性・子供はいない。
【相談内容】
何年か前から気になっていたのですが、小陰唇といわれるところの端が茶色く少し肥大しています。今までずっと放っておいたのですが、最近以前より気になり始め病院に通おうと考えています。
誰にも相談できなくて病院も何科を受診すれば良いかわかりません。
今まで誰とも性的関係をもったことはありません。

【回答】
貴女はセックス経験なし・22歳・未婚の女性です。
良い意味で素晴らしい女性だと思います。性感染症ではありません。
さて貴女の悩みは若い女性にはよくあることです。
自分だけの悩みではありません。
人間は自分だけ特別な病気にはなれません。
貴女が悩むということは、大勢の方も同じ悩みを持っているということです。

『小陰唇といわれるところの端が茶色く少 し肥大してる』
『誰にも相談できない』 『何科を受診すれば良いのでしょうか?』

貴女は自分の外性器を見てしまった。
毎日、見ている自分の顔のことならは判ると思いますが、貴女はあまり見たことのない外陰部を見てしまった。それから貴女の悩み・心配が始まった。
見ることは悪いことではありません。見ることによっていろいろな情報が得られますから、これからも時々観察して勉強してください。

さて小陰唇の端が茶色くなり、肥大して見える。
これは生理的変化で正常と考えてよろしいでしょう。
おそらく異常ではありません。
大人の女性になれば小陰唇の外側は誰でも茶色~黒褐色に変化してきます。
ことに身体の中でも外陰部は個人差があるところです。
小陰唇が腫れて見えたり、左右の大きさのバランスがとれていなかったりするところです。
ご心配ありません。
でも貴女はこのことで心に傷を持ってしまいました。
この傷を癒すには、やはり専門家の門を叩くしか方法はありません。
その専門家とは婦人科です。
そして貴女の心に早く平和を取り戻しましょう。

それではごきげんよう!

投稿者 aids : 10:24

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