泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2013年09月19日

ウイルス抗原検査 4.イムノクロマト法

前回まで、<ウイルス抗原検査>の中で 

1.ウイルス分離培養 
2.Tzanck test(ツァンク・テスト)
3.HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)

について話をしてきましたが、
今回は4.イムノクロマト法 ついてお話をいたします。
この検査法はイムノクロマト法を測定原理とする検査法です。
イムノクロマト法は、妊娠診断やインフルエンザなどでも応用されています。
HSV迅速検出キットがあれば良く、検査に際し特殊な機器を必要としません。

病変部位を擦過した綿棒から容易な操作で、
10~15分程度と短時間で目視判定可能です。

HSV-1,HSV-2の型別判定はできませんが、ウイルス分離培養と同等の優れた検出感度であるとされています。陽性であれば臨床的にHSV感染症であると迅速に診断できます。

HSVを迅速に検出できる手段として、今後、臨床現場において十分使用可能であります。 本検査法は、今まで、性器ヘルペスなどの皮膚粘膜HSV感染症に対して保険適用ではありませんでしたが、今年の7月1日から保険が適用されるようになりました。

これからは臨床現場で大いに使用して、患者に恩恵を与えてほしいものです。



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2013年09月04日

ウイルス抗原検査 3 HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)

前回まで、<ウイルス抗原検査>の中で 
1.ウイルス分離培養 
2.Tzanck Test(ツァンク・テスト) 
について話をしてきましたが、今回は 
3.HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)についてお話をいたします。
この検査では、Tzanck test(ツァンク・テスト)と同じ方法で細胞をスライドグラスに固定し、抗HSV-1およびHSV-2モノクローナル抗体を反応させ、ウイルス抗原を検出します。
この検査は保険適用であり、患者への侵襲も小さく、病変のHSV感染を証明できる有用な検査法です。病変部位から採取した検体中のウイルス特異抗原を検出するためHSV-1、HSV-2およびVZV(帯状疱疹のウイルス)との鑑別も可能です。
日常診療ではモノクローナル抗体を用いて発色させ、蛍光顕微鏡で観察する蛍光抗体直接法が用いられています。低コストであり、医療機関内で施行できれば1時間以内で判定可能です。
ただし、手技には熟練を要し、水疱やビランがあれば陽性率が高くなりますが、
膿疱や痂皮の状態では検体の採取が難しく、陽性率が低くなります。
蛍光顕微鏡のない施設(医療機関)では検査研究所・会社に依頼することになり、時間がかかります。この場合も保険は適用されます。
現在のところ、保険適用で皮疹病変部位からウイルスの存在を証明でき、型判別までできるのはこの検査のみです。 型判別しておくことは、患者の経過観察には大切なことです。
1型であれば再発は少なく、2型であれば再発の頻度が多くなるからです。
水疱があれば是非、施行してほしい検査です。

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投稿者 aids : 19:46 | トラックバック

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