泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2012年11月30日

世界エイズデー(World AIDS Day)(後編)

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前回お話しました、HIV検査で、正確な結果が早く出るやり方。
今回はその検査の受け方のお話をいたします。
 
この検査は“HIV即日検査”といいます。まず、検査の仕組みからお話いたしましょう。
HIVに感染している場合、体内でHIV抗体が作られますので、HIV抗体の有無を測るために、採血(少量)をします。
検査の時間にかかる時間ですが、採血してから約30分で結果を受け取ることができます。
この検査を受けるタイミングですが、感染する可能性のあった機会から、2~3カ月後が効果的です。
感染する可能性のあった機会から、2~3ヵ月経過していない場合は、HIVに感染していても、抗体が体内でまだ十分に作られていません。
ですので、信頼できる結果を受け取ることが難しくなります。そのような場合は2~3ヵ月後にもう一度、検査を受けることをお勧めします。
 
次に、検査結果の見方について説明いたします。
感染していない場合は「陰性」とでます。感染しているかどうかわからない場合は「要確認」とでます。
この結果の中には、感染していない方が含まれています。
 
では、「要確認」とでた場合、どうしたらいいのでしょうか。
まず、確認検査を行います。多くの場合、採血した残りの血液を使って、感染しているかどうかを調べます。
結果は1週間後にでます。
その確認検査の結果は、検査を受けた医療機関、保健所などを受診して受け取れます。
 
結果の見方ですが、感染していない場合は、「陰性」、感染している場合は、「陽性」と書かれています。
もしも不幸にも「陽性」とでた場合は、HIV感染者となるわけですが、専門医療機関を紹介していただき、今後の日常生活の指導を受けましょう。
 
また治療が必要となる場合もあります。HIV感染は治療法の進歩により、最近ではエイズとして発病する方が著しく減少しています。
積極的に専門医療機関を受診いたしましょう。
 
幸運をお祈りいたします。

投稿者 aids : 14:00

2012年11月29日

世界エイズデー(World AIDS Day)(前編)

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 12月1日は世界エイズデー(World AIDS Day)です。
 
世界レベルでのエイズの蔓延防止と、患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、世界保健機関(WHO)が1988年に制定したもので、毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動が行われています。
日本でも、その趣旨に賛同し、エイズに関する正しい知識等についての啓発活動を推進しており、全国各地で様々な「世界エイズデー」イベントが実施されています。
 
エイズ(AIDS)は治療法の進歩により、最近では発病する方が減少しています。
しかし自分がHIV感染者であるかどうかは、確認しておく必要があります。
自分がHIV感染者であるかどうか知らないでいると、セックスパートナーに感染させる可能性があります。それを確認するには、HIV検査を受けるしかありません。
 
でも、「もしかしてHIVに感染していたらどうしよう」と思うと、検査を受けることを躊躇してしまうものです。HIV検査をすることが怖くなるのですね。でも、怖いからこそ検査を受けるのです。
しかし、勇気を出して、検査を受けられたとしても、その後がまた、怖いのです。
検査を受けてその結果(成績)が出るまで、その時間が長いと、精神的に参ってしまいます。
何日も眠れなくなることもあるでしょう。
 
検査を受けたら、できるだけ早くその結果を知りたいもの。
そこで、正確で早くその結果が出る検査法が求められます。その方法は、あります。
日本においても、すでに10年以上前からその検査は存在しており、多くの方がその恩恵を受けております。
 
その検査法については、次回に詳しくお話いたしましょう。

投稿者 aids : 20:48

2012年11月16日

減少している“男性の淋病(淋菌性尿道炎)”(後編)

 

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前回は、男性の淋病について、患者の膿の分泌物を顕微鏡で検査し、多核白血球の中に双球菌が貪食されている所見を確認できれば、これを臨床的に"淋菌性尿道炎"と診断できることをお話しました。

診断方法は、その他にもあり、排膿している分泌物を、淋菌培養の専門培地(サイヤマーチン寒天培地)に塗抹し、培養し診断する方法も、そのひとつです。 淋菌は嫌気性菌ですから、この培養には炭酸ガス発生装置が必要となります。

また最近では、遺伝子検査(核酸増幅法 PCR法・SDA法・TMA法・タックマンPCR法)が可能となり、多くの臨床医はこの遺伝子検査を用いた尿検査で淋病を診断します。

尿検査は最後の排尿後2~3時間たってから、採尿した方が検査に適しています。
排尿初期の尿20~30ccほどを採尿し検査を行う研究所に提出します。
4~5日で、検査成績が研究所から送られてくるのですが、これでは、淋病の治療のスタートが遅れてしまいます。
排膿している分泌物をガラス板に薄く塗抹し、グラム染色し、顕微鏡で多核白血球の中に双球菌が貪食されている所見を確認できれば、これを臨床的に"淋菌性尿道炎"と診断でき、その日に(約15分後)に治療が開始できます。

患者のためにも、この顕微鏡検査を外来検査として是非、施行してほしいものです。 老婆心であればよいのですが。

投稿者 aids : 10:58

減少している“男性の淋病(淋菌性尿道炎)”(前編)

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最近、男性の淋病(淋菌性尿道炎)がかなり減少しています。
泌尿器科医としては寂しいかぎりであります。

泌尿器科の専門学会に出席した際、他の泌尿器科医も「さっぱり淋病の患者がこない」と嘆いていました。
「俺のところも殆どこない。患者は何処に行ったんだろう」
「俺のところも、そうなんだ!」

…どうしてこのような現象がおきているのか、原因は良くわかりません。
これを解析するには、全国的な疫学調査が必要となります。

しかし、さっぱり淋病の患者が来ない、来ないと思っていると、昨日、今日と立て続けに男性の淋菌性尿道炎患者が来院してきました。
専門医としては、しばらくぶりに興奮します。

患者の症状を見ると、二人とも、尿道口から黄色の膿が排出していました。排尿の初期痛も認めています。
このように排膿していれば、この分泌物をガラス板に薄く塗抹しグラム染色し、鏡検します。

顕微鏡で、多核白血球の中に双球菌が貪食されている所見を確認できれば、これを臨床的に”淋菌性尿道炎”と診断できます。

次回は、その他の診断方法と、診断から治療に至るまでの流れをご説明したいと思います。

投稿者 aids : 10:39

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