泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

« 2014年12月 | メイン | 2015年02月 »

2015年01月15日

クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫

今回はMEDICAL QOL メデイカルクオール月刊誌 2013年10月号 No.227 p.44~47 に、クラミジア検査キットについて私の記事が掲載されましたのでご報告いたします。

 以下がその記事です。

 

DSファーマバイオメディカル株式会社

クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫

性感染症(STD)は、デリケートな部位・器官の疾患であることから、患者心理としては誰にも知られたくないものである。特に、性器クラミジア感染症は自覚症状が乏しいことで、感染後早期に発見しにくい場合が多い。大日本住友製薬グループのDSファーマバイオメディカル株式会社が販売する「クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫」は、クラミジア・トラコマチス抗原検査を簡単に実施でき、スピーディに結果がわかるPOCTキットとして脚光を浴びている。

 

自覚症状に乏しく早期発見しにくいクラミジア感染症にフォーカス

 

厚生労働省が公表している性感染症報告数(定点観測値)の年次推移によると、性器クラミジア感染症は、2002年の約4万3000人を頂点に、2012年では約2万4000人と減少傾向にある。とはいえ、これらの数値はあくまでも症状が出て、患者が対象の医療機関に受診数であるので、症状の出ない方々や全国的な数値を考慮するとさらに多くなるものと思われる。

また、定点観測値について男女別でみると、2002年では男女比率が4対6であったのが、2012年では約4.5対5.5と男性の比率が増加している。さらに、世代別でみると20歳代の占める比率は、2002年は全体の約51%であったのが、2012年には約46%と低下している。

STDのなかでも性器クラミジア感染症は、自覚症状が乏しいことなどから早期発見がしにくいものである。また、自覚症状が乏しいことにより早期発見・早期治療の機会を逸してしまいやすいことは、仕事やプライベートの活動を優先しがちな働き盛りの世代が罹患する傾向が高くなることの要因の1つとも考えられる。

DSファーマバイオメディカル株式会社が、2010年10月から販売した「クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫」は、女性器から採取した検体や男性の初尿検体のいずれでも、簡便かつ迅速にクラミジア・トラコマチス抗原定性検査が実施できることで好評を得ている。

その開発経緯を聞いてみた。「現在のクラミジア感染に関する諸検査は、遺伝子検査が主流となっています。ただ、症状があるということで来院されたうえで遺伝子検査を実施するとなれば、診療所をはじめとした通常の医療機関では検査ができません。そうなると、検体を採取した後、検体は検査センターへ送らなければならず、患者さんには検査結果を聞くために改めて来院していただくことが必要です。また、仮に検査結果が陽性であった場合でも、治療薬をすぐに処方できないためタイムラグが生じます。このことから、当社としては、『患者さんが来院された際、すぐに診断でき、治療薬を選択できる検査キットがあってもよいのではないか』との考えで『ラピッドエスピー≪クラミジア≫』を開発し、2012年に販売を開始しました」(DSファーマバイオメディカル株式会社研究開発本部開発部学術開発グループ 主席部員・冨田庸助氏)

冨田氏によれば、「クラミジア感染症は公表されている罹患者数に加えて、無症状の保菌者が存在します」という。厚生労働省からの定点観測値(特定の病院に受診した患者数)では、ピークであった2003年から減少傾向にあるが、現在はそれほど下げ止まってはいないようである。「クラミジア感染症はあまり症状が出ない病気ですので、パートナーにも感染が拡大する可能性があり、感染の拡大や再発を防ぐには、パートナーを含めて同時に検査、治療をする必要があります」(冨田氏)

 

【中略】

 

スピーディな結果判明、早期治療で患者の復帰に貢献

 

宮本町中央診療所(院長:尾上泰彦医師)は、神奈川県川崎市の繁華街の一角にあり、尾上院長は性感染症の治療に力を入れている。尾上院長は、ラピッドエスピー≪クラミジア≫を販売当初から採用・導入し、その後の診療に役立てている。「DSファーマ社から、ラピッドエスピー≪クラミジア≫を紹介されたのは約2年前でした。当院を担当されていたMRの方がとても熱心な方で、ラピッドエスピー≪クラミジア≫を紹介されたのが導入のきっかけでした。ラピッドエスピー≪クラミジア≫が販売される前に使用していた試薬は、結果判明までに時間がかかっていました。特に、検体を温める時間が必要で検査結果が判明するまでに約30分かかりました。ラピッドエスピー≪クラミジア≫の検査手順は抗原抽出で約2分、結果反応が出るまでに約10分と、検査結果がわかるまでに約15分と今までの約半分ですむということは、臨床的な観点から申し上げても『使いやすい』といえますね。また、前の世代の製品と比べてもいい方向に進化しているので、とても満足しています」(尾上院長)

と太鼓判を押す。検査に当たっては、「ラピッドエスピー≪クラミジア≫は、他の検査と比べて安価に実施できます。とはいえ、患者さんのなかには費用面の課題がありますが、SDAやPCRをはじめとした遺伝子検査を選択される方もおられます。また、患者さんによってはラピッドエスピー≪クラミジア≫による迅速検査と、遺伝子検査を併用される方もおられます」(尾上院長)

と、あくまでも患者の選択に基づいて実施しているとのことだ。「クラミジア感染症は臨床的に非常に多い疾患ですから、陽性との結果が出ればすぐに治療を開始しなければなりません。ラピッドエスピー≪クラミジア≫は、PCR法をはじめとした他の遺伝子検査と比べても一致率がそれほど低いものではありませんので、信頼性がよければいいと思います」(尾上院長)

と、遺伝子検査と比較したうえでの信頼性も大きなポイントであるようだ。「当院を受診される患者さんの多くは、早く診断し、早く治療し、早く社会復帰することを望まれます。早めの対処を望まれる患者さんに、ラピッドエスピー≪クラミジア≫は向いていると思います」(尾上院長)

と、迅速な治療と患者の早い社会復帰のために欠かせないと強調する。

 

に、クラミジア検査キットについて私の記事が掲載されましたのでご報告いたします。

 以下がその記事です。

 

DSファーマバイオメディカル株式会社

クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫

性感染症(STD)は、デリケートな部位・器官の疾患であることから、患者心理としては誰にも知られたくないものである。特に、性器クラミジア感染症は自覚症状が乏しいことで、感染後早期に発見しにくい場合が多い。大日本住友製薬グループのDSファーマバイオメディカル株式会社が販売する「クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫」は、クラミジア・トラコマチス抗原検査を簡単に実施でき、スピーディに結果がわかるPOCTキットとして脚光を浴びている。

 

自覚症状に乏しく早期発見しにくいクラミジア感染症にフォーカス

 

厚生労働省が公表している性感染症報告数(定点観測値)の年次推移によると、性器クラミジア感染症は、2002年の約4万3000人を頂点に、2012年では約2万4000人と減少傾向にある。とはいえ、これらの数値はあくまでも症状が出て、患者が対象の医療機関に受診数であるので、症状の出ない方々や全国的な数値を考慮するとさらに多くなるものと思われる。

また、定点観測値について男女別でみると、2002年では男女比率が4対6であったのが、2012年では約4.5対5.5と男性の比率が増加している。さらに、世代別でみると20歳代の占める比率は、2002年は全体の約51%であったのが、2012年には約46%と低下している。

STDのなかでも性器クラミジア感染症は、自覚症状が乏しいことなどから早期発見がしにくいものである。また、自覚症状が乏しいことにより早期発見・早期治療の機会を逸してしまいやすいことは、仕事やプライベートの活動を優先しがちな働き盛りの世代が罹患する傾向が高くなることの要因の1つとも考えられる。

DSファーマバイオメディカル株式会社が、2010年10月から販売した「クラミジア抗原キット ラピッドエスピー≪クラミジア≫」は、女性器から採取した検体や男性の初尿検体のいずれでも、簡便かつ迅速にクラミジア・トラコマチス抗原定性検査が実施できることで好評を得ている。

その開発経緯を聞いてみた。「現在のクラミジア感染に関する諸検査は、遺伝子検査が主流となっています。ただ、症状があるということで来院されたうえで遺伝子検査を実施するとなれば、診療所をはじめとした通常の医療機関では検査ができません。そうなると、検体を採取した後、検体は検査センターへ送らなければならず、患者さんには検査結果を聞くために改めて来院していただくことが必要です。また、仮に検査結果が陽性であった場合でも、治療薬をすぐに処方できないためタイムラグが生じます。このことから、当社としては、『患者さんが来院された際、すぐに診断でき、治療薬を選択できる検査キットがあってもよいのではないか』との考えで『ラピッドエスピー≪クラミジア≫』を開発し、2012年に販売を開始しました」(DSファーマバイオメディカル株式会社研究開発本部開発部学術開発グループ 主席部員・冨田庸助氏)

冨田氏によれば、「クラミジア感染症は公表されている罹患者数に加えて、無症状の保菌者が存在します」という。厚生労働省からの定点観測値(特定の病院に受診した患者数)では、ピークであった2003年から減少傾向にあるが、現在はそれほど下げ止まってはいないようである。「クラミジア感染症はあまり症状が出ない病気ですので、パートナーにも感染が拡大する可能性があり、感染の拡大や再発を防ぐには、パートナーを含めて同時に検査、治療をする必要があります」(冨田氏)

 

【中略】

 

スピーディな結果判明、早期治療で患者の復帰に貢献

 

宮本町中央診療所(院長:尾上泰彦医師)は、神奈川県川崎市の繁華街の一角にあり、尾上院長は性感染症の治療に力を入れている。尾上院長は、ラピッドエスピー≪クラミジア≫を販売当初から採用・導入し、その後の診療に役立てている。「DSファーマ社から、ラピッドエスピー≪クラミジア≫を紹介されたのは約2年前でした。当院を担当されていたMRの方がとても熱心な方で、ラピッドエスピー≪クラミジア≫を紹介されたのが導入のきっかけでした。ラピッドエスピー≪クラミジア≫が販売される前に使用していた試薬は、結果判明までに時間がかかっていました。特に、検体を温める時間が必要で検査結果が判明するまでに約30分かかりました。ラピッドエスピー≪クラミジア≫の検査手順は抗原抽出で約2分、結果反応が出るまでに約10分と、検査結果がわかるまでに約15分と今までの約半分ですむということは、臨床的な観点から申し上げても『使いやすい』といえますね。また、前の世代の製品と比べてもいい方向に進化しているので、とても満足しています」(尾上院長)

と太鼓判を押す。検査に当たっては、「ラピッドエスピー≪クラミジア≫は、他の検査と比べて安価に実施できます。とはいえ、患者さんのなかには費用面の課題がありますが、SDAやPCRをはじめとした遺伝子検査を選択される方もおられます。また、患者さんによってはラピッドエスピー≪クラミジア≫による迅速検査と、遺伝子検査を併用される方もおられます」(尾上院長)

と、あくまでも患者の選択に基づいて実施しているとのことだ。「クラミジア感染症は臨床的に非常に多い疾患ですから、陽性との結果が出ればすぐに治療を開始しなければなりません。ラピッドエスピー≪クラミジア≫は、PCR法をはじめとした他の遺伝子検査と比べても一致率がそれほど低いものではありませんので、信頼性がよければいいと思います」(尾上院長)

と、遺伝子検査と比較したうえでの信頼性も大きなポイントであるようだ。「当院を受診される患者さんの多くは、早く診断し、早く治療し、早く社会復帰することを望まれます。早めの対処を望まれる患者さんに、ラピッドエスピー≪クラミジア≫は向いていると思います」(尾上院長)

と、迅速な治療と患者の早い社会復帰のために欠かせないと強調する。

%E3%83%A1%E3%83%86%E3%82%99%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB.jpg

%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%99%E3%82%A2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88%EF%BC%A1.JPG

%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%99%E3%82%A2%E5%8D%B3%E6%97%A5%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88.JPG

投稿者 aids : 15:29 | トラックバック

2015年01月13日

日本医師会生涯教育制度 『学習単位取得証』

日本医師会生涯教育制度(第2514020020号)による

平成25年度 日本医師会生涯教育制度に参加し学習したことを証明する内容の、

『学習単位取得証』 を平成26年10月1日付けで公益社団法人日本医師会

会長 横倉義武よりいただきました。

これを報告いたします。

__.JPG

blue_img1.jpg

投稿者 aids : 12:58 | トラックバック

2015年01月06日

「遺尿症」

15歳の女性から「夜尿症(おねしょ)」について相談がありましたのでご報告いたします。

【相談】 私は、小学校に入った時から「夜尿症(おねしょ)」で悩んでいました。

小学生ですから、まだしょうがないと思っていましたが、気付いた時にはもう小学6年生になっていました。

…しかも、おねしょだけじゃなくて日中でもおしっこを漏らすことがありました。

夜の寝る前、水分をとらずに何度もトイレに行っても、朝起きたら濡れていました。

そのせいなのか、水分を取るのが怖くなってしまい、脱水になりかけたこともありました。

少し良くなったと思いますが、中学3年の今でも時々、失敗してしまいます…

私は病気なんでしょうか?

【回答】

貴女のお話からおそらく遺尿症と考えます。


遺尿とは無意識(知らない内に)に尿が排出してしまう状態をいいます。

昼間、尿をもらす昼間遺尿症,夜間、睡眠中にもらす夜間遺尿症(夜尿症ともいいます),そして両者の混合型もあります。

幼少時は,排尿の調節が完全にできないため,遺尿は生理的な現象ですが,
5歳を過ぎてからの遺尿(おもらし)は臨床的に問題があります。

夜尿症は,夜間の尿産生の異常や夜間の蓄尿の異常,
あるいは睡眠覚醒の異常等のさまざまな要因が複雑に関与した症候群とされています。

夜尿症は自然経過で治癒する頻度が比較的高いとされていました。

治療については,かつては自然経過を見守る考え方が強かったのですが,
最近は,本人への心理的負担の大きさ,一部の方では成人への移行が明らかにされて
いましたが,就学以降も持続する夜尿症にはさまざま治療が試みられています。

また,現在行われている治療法には根拠が不十分なところもあり,
本人,家族への心理的,肉体的,経済的負担が大きいものもあります。

また,薬物療法では副作用にも注意しなければなりません。

臨床的には難しい問題点も多々ありますから
総合病院の泌尿器科を受診し精査そして治療をいたしましょう。

ご心配はありませんよ。

%E3%81%8A%E6%AD%A3%E6%9C%88.jpg

投稿者 aids : 18:01 | トラックバック

2015年01月05日

『近年、川崎市において分離されたNeisseria gonorrhoeae の遺伝学的性質と細菌学的背景について』

今回は平成26年12月6日(土)に神戸国際会議場で開催されました日本性感染症学会 第27回学術大会で当院の研究生が一般演題で発表しましたのでそれを報告いたします。
 
研究生は 東邦大学大学院看護学科研究科 感染制御学 井村 幸恵 です。
 
以下に発表要旨を示します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
O-38
『近年、川崎市において分離されたNeisseria  gonorrhoeae の遺伝学的性質と細菌学的背景について』
○東邦大学大学院看護学科研究科 感染制御学 井村 幸恵、金山 明子、小林  寅喆
宮本町中央診療所 尾上 泰彦
 
【目的】

過去に我々は川崎市で淋菌感染症が疑われた患者の生殖器および咽頭より分離したN. gonorrhoeae の感染経路・背景および抗菌薬感受性について報告した。
今回はこれら菌株のSequence Type(ST) と細菌学的性状について検討を行った。
 
【対象と方法】

2012年3月~2014年3月に淋菌感染症の疑いで来院した患者生殖器および咽頭より分離した
N.gonorrhoeae 137株を対象とした。

分離したN.gonorrhoeaeについてNG-MAST法により遺伝学的解析を行い、患者背景および由来について調査し、CLSIが推奨する寒天平板希釈法に準じPCG、CTRX,AZM、SPCM,TC,CPFXのMICを測定した。
 
【結果と考察】

生殖器および咽頭より分離されたN.gonorrhoeae は男性由来93株(68%)、女性由来は44株(32%)であった。

このうち咽頭および生殖器同時検出例の割合は男性および女性それぞれ12%および10%と同程度であった。

分離株のうちST分類が可能であった株は110株で、最も多く分離されたSTIは6771で12株(11%)、次いで1407の9株(8%)であった。

ST6771に分類された株は1株を除き測定した抗菌薬に感受性を示した。

ST1407はCTRXおよびSPCMを除きほとんどの抗菌薬に耐性を示す多剤耐性株で、いずれも男性生殖器からの由来株であった。

CTRXに対する非感受性株は見られなかったが、0.25を示す株が7株認められそのうち6株は男性生殖器由来であった。


咽頭および生殖器同時検出例において両者のPFGEパターンはほとんどが一致したが、STは異なる株が存在した。

今回検討した地域において分離された N.gonorrhoeaeはST6771に分類される感受性株が多かったが、ST1407や他の多剤耐性型も分布し、多様な株が存在することが明らかとなった。

%E3%81%84%E3%82%80%EF%BC%92.jpg

投稿者 aids : 13:18 | トラックバック

Entries

Archives