泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2013年11月29日

咽頭感染が心配

咽頭感染が心配

既婚、30代の男性から性感染症の悩みについて相談を受けました。

【相談】
妻に病気を移すことが心配です。
4週間前に酔った勢いで友達と性風俗店に行ってしまいました。
口から口へ性感染症は移るのでしょうか?
咽頭感染について教えてください。

【回答】
一般的には日常生活での家族同士の口と口だけの愛情表現程度では
性感染症が移る可能性はないと考えます。

しかしながら貴方の言う通り、感染者との粘膜と粘膜の接触、
唾液(体液)の交換があれば感染が成立する可能性はあります。

口と口だけでも梅毒、淋病、クラミジア感染症、口唇ヘルペスなど
になる可能性はあります。そして何らかの症状が出れば治療につながるのですが、
咽頭に淋菌やクラミジア・トラコマティスが感染しても、ほとんど症状が出ません。

ですから知らないうちに病気を移しているかもしれません。
これは困った問題ですね。心配ですね。貴方と奥様の問題もあり、
心配しだすといつまでも貴方に「心の平和」は訪れません。

貴方は性風俗店に行ったのですから、一度、専門医を受診され、
異常がないことを確認されるのがよろしいのではないでしょうか。


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投稿者 aids : 10:37 | トラックバック

2013年11月28日

「性の健康週間」

「性の健康週間」、あまり聞きなれない言葉ですね。
11月25日から12月1日までの1週間、 性の健康医学財団が中心となり、厚生労働省、文部科学省、日本医師会、 エイズ予防財団の後援および日本コンドーム工業会の協賛を得て多くの事業活動が行われます。

性の健康医学財団では「市民公開講座」を開催いたします。
若者の性感染症・HIV感染症を減少させる啓蒙活動の一環です。
そして最終日の12月1日は世界エイズデー(World AIDS Day)です。

世界レベルでのエイズの蔓延防止と、患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、 世界保健機関(WHO)が1988年に制定したもので、毎年12月1日を中心に、 世界各国でエイズに関する啓発活動が行われています。

日本でも、その趣旨に賛同し、エイズに関する正しい知識等についての啓発活動を推進してお 全国各地で様々な「世界エイズデー」イベントが実施されます。
誰もがなりえる性感染症・エイズというと無関心ではいられないでしょう。
みなさまの“性の健康”をお祈りいたします。


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投稿者 aids : 10:35 | トラックバック

2013年11月12日

ウイルス遺伝子検査 ●PURE-LAMP法

前回お話をしたLAMP法は、遺伝子増幅法のひとつです。
LAMP法を用いて単純ヘルペスウイルス1型(HSV‐1)
および2型(HSV‐2)の遺伝子を検出・型判別するキットが市販されており、
このキットを用いれば40分で結果が得られます。

従来LAMP法を使用するためには、前処理として検体中の核酸を抽出・精製するという、煩雑な過程が必要でした。

今日ご紹介する簡易迅速前処理技術(PURE=procedure for ultra rapid extraction)法は、 ピペット操作が要らず、簡易前処理機器を用いて短時間で完了します。

以上2つの技術を用いたPURE‐LAMP法は、日常診療における核酸検出法として応用が期待される遺伝子増幅法です。

LAMP法では、40分以上の時間を要していた前処理過程をPURE‐LAMP法では、20分程度に短縮できます。
従来のLAMP法やPCR法と比較しても感度・特異度共に遜色なく、HSV-2に対しては感度がやや上昇しました。

PURE-LAMP法と蛍光抗体直接法(2013年8月23日のコラム参照)を比較すると、検体を採取した病変が水疱の場合には、検出率に遜色はありませんでした。
(PURE-LAMP法:79%/蛍光抗体直接法:86%)
しかし、びらん(それぞれ57%/29%、)、膿疱(82%/18%、)、痂皮(かさぶた)(80%/33%、)となり、いずれもPURE-LAMP法の方が検出率が高く出ました。

以上のことからPURE‐LAMP法はHSV‐1およびHSV‐2の検出および型判定に関して、 従来のLAMP法やPCR(ポリミラーゼ連鎖反応)法と同等以上の感度、特異度が期待しえると考えられます。
この検査が保険適用されれば、患者に大きな恩恵をもたらすことでしょう。


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投稿者 aids : 10:32 | トラックバック

2013年11月08日

ウイルス遺伝子検査●LAMP法

LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法は日本で開発された核酸増幅法(*1)であり、感度(*2)、特異度(*3)はポリメラーゼ連鎖反応法(*4)
(poiymerase chainreaction:PCR)と同等です。保険は適用されません。

全ての反応が等温(65℃付近)で進行するため、サーマルサイクラー(thermal cycler)などの特別な装置を必要とせず、恒温槽で測定することもできます。 ウイルス遺伝子の有無は、試験液の白濁などにより目視でも判定でき、濁度を測定すれば定量的評価が可能です。

HSV-1、HSV-2の型特異的なプライマー(*5)がキット化されており、型別の判定が可能です。 ウイルス量がごく微量でも検出できるため、無症候性ウイルス排泄(*6)も検出されます。 核酸増幅と検出のみなら、1時間程度で実施できますが、核酸の抽出・精製といった検体の前処理が煩雑で時間がかかる点が問題といわれています。

次回は●PURE-LAMP法についてお話いたします。

(*1)核酸増幅法:ウイルスは遺伝子を持つ。
遺伝子を構成するDNAやRNAを短時間で増幅して、
検体内のウイルス存在を証明する検査法。
(*2)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率。
(*3)特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率。
(*4)ポリミラーゼ連鎖反応法:DNA増幅技術の一つ。
(*5)プライマー:DNAポリメラーゼが DNA を合成する際の核酸の断片。
DNAは2本の鎖構造だが、DNAポリメラーゼは1本鎖の核酸を鋳型として、
相補的な塩基配列を持つDNA鎖を合成する酵素の総称。
(*6)無症候性ウイルス排出:症状が認められないがウイルスが存在する状態。

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投稿者 aids : 20:33 | トラックバック

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