泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2009年12月24日

女性の出血性膀胱炎の原因は

 

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ある日のこと。
「すみません!血尿が出たんですが、すぐに診てもらえませんか?」
と、慌てふためいた声で電話をかけてきた、29歳のOLさんがいました。

時間的には朝の診察が始まったばかりで、
その日は珍しく待合室には患者さんがあまりいませんでした。

「今なら比較的すぐ診察できますよ」と申し上げると、
彼女はタクシーを飛ばし大急ぎで来院してきました。
早速検尿をしたところ、尿は濁っていて赤ワインのような色でした。

「色が濃くなってます・・・。さっきはもうちょっと薄い赤だったのに」
と言う彼女は、顔面蒼白で取り乱した様子。
それでも問診をしているうちに、だんだん冷静になってきました。

「尿が出にくくて、排尿をするとき痛みがあり、特に排尿の終わりに痛みがひどいんです。
尿は濁っていて残尿感もあります」
と、症状を訴える彼女。

「それはいつからですか?」
という私の問いには「今朝、急にです」という答え。

これが典型的な急性膀胱炎です。

排尿痛、混濁尿、血尿、頻尿、残尿感そして下腹部不快感などが、急性膀胱炎の典型的な症状です。
問診に引き続き行った検査でも、それが裏付けられました。
彼女には抗菌薬を処方し、冷えに注意し、水分を十分に取るようにアドバイスしました。

実は膀胱炎は、若い女性ではセックスが原因で発症することが珍しくありません。
膀胱炎は、大腸菌などのグラム陰性桿菌の感染によって起こることがほとんどです。
そして、女性の外陰部の解剖学的特徴が、その発生に大きな役割を果たしているのです。

すなわち、セックスによる刺激により肛門周囲にいる腸内細菌が、
肛門から腟前庭へして外尿道口へと侵入。
それにより、膀胱炎が発症するのです。

1週間後、来院された彼女の症状は完全に消えていました。
尿は肉眼的にも、黄色透明で、詳しい尿検査でも完治が確認されました。

セックスの後、2,3日して、膀胱炎になりやすい女性は、
セックスの後、直ぐに“おしっこ”をした方が胱炎の予防になるかもしれません。

そのためには、セックスの前に水分を摂取することが必要ですね。

一度、お試しあれ!それでは御機嫌よう!

 

投稿者 aids : 15:19

2009年12月22日

新婚旅行膀胱炎

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先日、当診療所の近所に住んでいるという、23歳の可愛いお嬢さんが来院してきました。
話を聞くと、ハワイに行った新婚旅行を途中で止めて帰国してきたのだとか。

実は、彼女は今どき大変珍しく処女で結婚し、
新婚旅行先のハワイで、生れて初めてセックスをしたそうです。
いわゆる「初夜」ですね。
今どきは「初夜」 という言葉は既に“死語”であると思っていましたが、
久しぶりに聞いて、懐かしく感じました。
彼はベットでは、大変優しく迎えてくれたそうです。

しかし、その2日後の朝に彼女がトイレに行くと、激しい排尿痛があり真っ赤な血尿が!
しかも排尿の最後にタラタラと血が出てきたとのこと。
それを見た彼女は、
「これはセックスをしたから!?」
「私の体はどうかしちゃったの!?」
「もう、ダメ!セックスなんかできない!」とパニックになってしまいました。

優しい旦那様はそんな彼女の様子を見て、
「これではこのまま新婚旅行を続けられない」と判断し、二人はすぐに日本に帰国。
そのまま当診療所の門をたたいたということのようでした。

これが有名な『新婚旅行膀胱炎』です。
女性は一生のうちに、何回か膀胱炎にな るといわれていますが、
セックスが膀胱炎の引き金になることがあります。

一昔前では、 「お妾さん膀胱炎(!)」と言う膀胱炎もありました。
私の臨床経験では、パトロンの男性が来ると、
その2日後に必ずといっていいほど膀胱炎になるお妾さん(今で言う愛人ですね)もいました。
もちろん、膀胱炎の原因はセックスだけではありませんが、
それでも約25%はセックスが誘因となると考えられています。

なぜなら、女性の急性膀胱炎の原因菌(起炎菌)80%以上は大腸菌です。
肛門周囲に存在する大腸菌がセックスの刺激により、腟前庭の尿道口に入り込み膀胱炎になるわけです。この新婚彼女の場合も、たまたまセックスが誘因となり『出血性膀胱炎』になったと考えられます。

このような急性膀胱炎の治療は、大腸菌に感受性のある抗生物質を服用すれば必ずよくなります。
彼女の場合も、投薬ですぐに完治いたしました。
よかった!よかった!

この若いご夫婦の愛のある性生活を送られることを、お祈りしたいと思います。

投稿者 aids : 15:00

2009年12月14日

アソコがきれいな・・アナル・スペシャリスト嬢

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先日、私の診療所に
34歳のソープランド嬢が、一年ぶりの「性感染症の検診」に来院してきました。

「検診」では、問診から始まり、尿検査、血液検査、子宮頸管・
腟分泌物検査(遺伝子増幅検査を含む)、外陰部視診などをひと通り行ないます。

子宮頸管・腟分泌物検査の一部は顕微鏡検査も行いました。
これは直ぐに検査結果が判明するもので、分泌物を検査した結果は、
性風俗嬢とは思えないほどきれいな状態でした。
ほとんど健康な一般女性の「おりもの」と同じ状態であるといってもいいほどです。

私は感心して、彼女に
「おりものはきれいでしたよ。最近は、お仕事していないのですか?
それともしばらくお休みしていたのですか?」と尋ねました。

すると彼女はあっけらかんと
「先生!私、あそこ、ぜんぜん使ってないの。
3か月前から肛門専門にしたんです。今はアナルのスペシャリストなの。
肛門ならあまり病気にならないからいいでしょ♪」と答えるのです。

「いや、そんなことはありません。肛門も恐い病気になりますよ。」と応じると、
彼女は急に不安になったのか
「エッ!?本当ですか!?先生、 それなら今日は肛門も検査してください!」と、
急きょ、追加の検査を行うことになりました。

さっそく肛門の淋菌、クラミジア・トラコマティスの遺伝子増幅検査を追加し、
採取検体を研究所に送りました。

そして5日後に検査結果が研究所から到着。
子宮頸管は全て陰性でしたが、肛門(直腸)の遺伝子増幅検査で淋菌が陽性と出ました。

とういことは、淋菌性直腸炎を発症しているということです。
幸いなことにクラミジアは陰性でした。

その2日後に来院してきた彼女に、早速検査結果を告げ、淋病の治療を開始しました。
「先生に教えてもらって、検査してみて良かったわ。
おかげで病気を早く見つけられました。これからは、肛門の検査もいつもお願いしますね!」と、彼女もすっかり認識を改めてくれたようです。

淋菌が検出される身体の部位は、一番多いのは生殖器、次いで直腸、咽頭、そして結膜(眼)の順となっています。
これは淋菌の菌量が体の部位によって異なることが、この差になって表れていると考えられています。
しかし臨床の現場では、実際に肛門(直腸)の検査はあまり行なわれていません。
もちろんMSM(男性同性愛者)が訪れる専門の医療機関では行なわれているでしょう。

性行為のためにある性器と性器の結合によるセックスよりも、
本来、セックスのためではなく排便のためにある肛門(直腸)を使うセックスは、
出血しやすいことと、免疫力が低下し、恐い病気になりやすいことを忘れないでください。

投稿者 aids : 09:56

2009年12月08日

オナニーしてたら尿道から出血・・・

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ある冬の日の午前診療の中、39歳の男性が受診してきました。

来院理由を尋ねると、
「先生、昨日の夜にマスターベーションをしてたら、急に尿道からタラタラ血でてきたんです。
あわててティッシュでペニスを押さえていたら間もなく出は止まったんですが、自慰のし過ぎでしょうか?」
とのこと。

さっそくペニスを診察すると、確かに出血は止まっていました。
しかしながら私、尿道口からわずかながら分泌物がでているのを見逃しませんでした。

さっそくこの分泌物を染色して顕微鏡で観察すると、多核白血球に取り込まれた双球菌を確認できました。

これは臨床診断では、いわゆる淋病(淋菌性尿道炎)ということになります。
彼に詳しく聞いてみると、彼女とセックスをしたのは5日前とのこと。
となると、感染原因としては彼女である可能性が十分に考えられます。

しかし原因究明はさておき、まずは淋病の治療を行いました。
淋病の治療は現在、服薬ではなく、注射薬で行うのが専門医の常識となっています。
これは淋菌は服薬に対する耐性菌が多いためです。

併せて彼の排尿初期の尿10mlを検査センターに送り、遺伝子レベルの淋菌とクラミジアの検査も依頼しました。
5日後に検査結果報告書が届くと、確かに遺伝子検査でも淋菌が証明されました。

結局、彼がマスターベーション中に急に尿道から出血したのは、この淋病により尿道粘膜に炎症が生じ、そこにマスターベーションという機械的刺激が加わり炎症性の出血が起きたものと判断いたしました。

こういうこともあり得るのですね。
ちなみに1週間後に彼に話を聞くと、彼女が浮気をしていたことが判明したとのと。
彼女は自分の浮気が原因で彼に淋病をうつしてしまったという事実に、大いに反省していたそうです。

出来心からの浮気が大きな代償を払う羽目になってしまったようですね。

皆様もご注意を。

投稿者 aids : 09:56

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