泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2017年03月31日

PharmaTribune89February2017掲載「性感染症」

「なりたい薬剤師になる!PharmaTribune 89February2017」に自著の「性感染症」 が掲載されましたので報告いたします。
 
①PharmaTribune89February2017
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PharmaTribune Vol.9 No.2 February,2017/2017年2月15日発行
©株式会社メデイカルトリビューン2017  5~9頁
 
病気について知りたい! ◎臨床講座
宮本町中央診療所 尾上泰彦
 
「性感染症」
 
【内容】
今回の臨床講座では性感染症(sexually transmitted infection: STI)のなかでも注目されている、梅毒とクラミジア感染症について述べます。
 
そして「薬剤師へのアドバイス」に触れます。
 
内容は写真を参考にされてください。

②臨床講座  性感染症
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③男性  4疾患定点当たり報告数
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④ 女性  4疾患定点当たり報告数
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⑤梅毒患者の報告数の推移
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⑥臨床講座  梅毒
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⑦「梅毒」という病名の由来<
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⑧臨床講座  梅毒
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⑨臨床講座  クラミジア感染症
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⑩患者さんの悩み!
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⑪臨床講座  クラミジア感染症
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淋菌性・クラミジア性咽頭炎は自覚症状がほとんどない、また赤発、扁桃腫脹もない患者さんが多い。

⑫淋菌性・クラミジア性咽頭炎 18歳 女性
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以上報告いたしました。

投稿者 aids : 18:20 | トラックバック

2017年03月26日

「第13回川崎STI研究会」報告

①第13回川崎STI研究会 2017032601.png
 
今回でこの川崎STI研究会は13回目を迎えることができました。
 
開催場所は今回も川崎日航ホテルで行いました。

 
          記

 
日時 平成29年2月18日(土) 午後4時~

場所 川崎日航ホテル 12階「西」の間

神奈川県川崎市川崎区日進町一番地

TEL 044-244-5941

代表世話人 尾上 泰彦(宮本町中央診療所)

世話人    清 佳浩(帝京大学医学部附属溝口病院)

世話人    吉川 琢磨(よしかわ耳鼻咽喉科)

世話人    鈴木 真(鈴木産婦人科)

共催 : 川崎STI研究会/マルホ株式会社

研究会に参加された、ご希望の方には日本性感染症学会

認定制度の5単位取得できる参加証明書を差し上げました。
 
今年も幸いなことは素晴らしい講師をお招きできたことです。

総合司会は宮本町中央診療所 院長 尾上 泰彦です。

総合司会の尾上は2016年は爆発的に梅毒が増えたと挨拶で述べました。

②梅毒患者の報告数の推移
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③講演1の座長 清 佳浩先生
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 講演1. 座長は帝京大学医学部附属溝口病院皮膚科教授の清 佳浩先生。

講師は国立感染症研究所ハンセン病センター センター長の石井則久先生。

「疥癬 -STIから施設内集団感染までー」についてお話しをいただきました。


④石井則久先生
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⑤疥癬ーSTIから施設内集団感染までー
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講師の石井先生は日本における“疥癬”の第一人者、トップランナーであります。

今日は来て良かったと感じた、面白い“疥癬”のお話をいただきました。

⑥疥癬の生態
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⑦臍部の皮膚結節 ダーモスコピー所見
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皮膚所見では疥癬トンネルが特徴的です。


⑧Q.イベルメクチン内服で治りますか?

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今日は来て良かったと感じた面白い“疥癬”のお話をいただけました。

 講演2.座長は鈴木産婦人科病院の鈴木 真先生。


⑨座長:鈴木 真先生

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講師は川崎市健康福祉局健康安全研究所 所長の岡部信彦先生。


⑩講師:岡部信彦先生

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演題:「最近の全国及び川崎市における梅毒、クラミジア等のSTIの発生動向および

風疹、ジカウイルス感染症などの妊婦感染による児への影響」という演題で

お話しをいただきました。

⑪第13回川崎STI研究会
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STDの定点把握(4疾患) 900医療機関


⑫5類感染症(定点把握)
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梅毒は川崎市でも最近年間で6.2倍も増加しております。

⑬川崎市 梅毒の年別発生状況

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最近若い女性に梅毒が爆発的に急増しており、胎児感染の報告も

増加傾向にあり、社会問題となっており憂慮すべき状況です。

⑭川崎市 性別・年齢別発生状況
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また最近、ジカウイルス感染症もニュースなどで報道されており

非常にタイムリーなお話で、興味深く拝聴いたしました。

⑮ジカウイルスはアフリカからどのように伝播したか?

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⑯Zika virus infection

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講師の岡部先生はNHKなどに数多く出演されておられる超有名な方で、

興味あるお話が聞けました。

両講演とも素晴らしい内容で,活発な質疑応答が交わされ、

非常に盛り上がりました。

参加者は67名を数え、多くの方々にお出かけいただき心から感謝申し上げます。

⑰第13回川崎STI研究会 

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 研究会終了時にマルホ(株)松本所長より謝辞の挨拶がありました。

⑱マルホ(株)松本所長と私
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研究会終了後、情報交換会を行いました。大勢の方に参加いただきました。
 
吉川琢磨先生の司会で乾杯の発声を日本性感染症学会理事長の
 
荒川創一先生がなさいました。情報交換会は楽しく和やかに行われました。
 
また、元日本性感染症学会理事長の新村眞人先生にご挨拶をいただきました。
 
また元日本性感染症学会会長を務められた本田まりこ先生、元日本性感染症学会事務局長を

務められた小林寅喆先生も参加されておられました。皮膚科医会の望月明子会長も

おいでになられました。
 
そして情報交換会は吉川琢磨先生の中締めにより、恙なく楽しく終わることができました。
 
参加された皆様に感謝申し上げます。
 
また共催のマルホ(株)に厚く御礼申し上げます。
 
(尾上泰彦 記)

投稿者 aids : 15:22 | トラックバック

コンジローマについて (男性)

30代の男性から尖圭コンジローマについて 相談がありましたので報告いたします。

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【相談内容】

数週間前に尖圭コンジローマを切除しました。
 
医師からは「もうセックスをしても大丈夫」と言われました。
 
しかし、ネットを見ると「3ヶ月再発しなければ完治」と書いてあります。
 
ということは手術から3ヶ月はセックスを控えた方が良いのでしょうか。
 
それとも医師の言うとおり、症状がなければセックスをしてもいいのでしょうか。
 
再発しやすいので「絶対感染しない」とは言い切れないのかもしれませんが、
 
常識的な見解を教えてください。
 
【回答】30代の男性

尖圭コンジローマでお悩みですね!

尖圭コンジローマどんな治療を行っても、

3カ月以内の再発率は15~30%はあると考えてください。

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3カ月以内に再発しなければ、とりあえず治癒というこになりますが、

6カ月~1年以上経過してから再発する場合もあります。

性行動は慎んだ方がよいのですが、3カ月以上経過して再発症状がなければ
セックスの際、必ずコンドームを正しく使用してください。

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尖圭コンジローマの治療は再発との戦いです。

でも必ずや、良くなる日がくると考えてください。

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お大事になさってください。

投稿者 aids : 11:24 | トラックバック

2017年03月09日

「東京の若い女性の梅毒患者、なぜ5年で25倍の激増?」

http://biz-journal.jp/2017/03/post_18252_3.htmlhttp://biz-journal.jp/2017/03/post_18252_3.htmlWeb上の「Business Journal」に、私が取材を受けた記事がUpされました
ので以下の如く報告いたします。
 
①「東京の若い女性の梅毒患者、なぜ5年で25倍の激増?」
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東京の若い女性の梅毒患者、なぜ5年で25倍の激増?
中国人観光客の「夜の爆買い」が原因か?
 
重症化すれば「死に至る恐ろしい病」として、古くから知られてきた性感染症「梅毒」。
 
名軍師の黒田官兵衛をはじめ、歴史上の戦国武将のなかにも梅毒にかかって命を
落としたとされる例は多い。

この梅毒の感染者が近年、日本国内で急激に増加し、大きな問題になっている。
 
国立感染症研究所は今年1月、昨年1年間の梅毒患者数が4518人に上ったと発表した。
 
梅毒の感染者が4000人を超えたのは、1974年以来42年ぶりのことだという。
 
なぜ今、梅毒の感染者が急増しているのか。性感染症の臨床分野の権威であり、
梅毒の症例について詳しい泌尿器科専門医の尾上泰彦氏は、
「現在の梅毒の患者数は、氷山の一角にすぎません」と指摘する。
 
「東京の若い女性」の梅毒患者は5年で約25倍に!
 
梅毒が最初に流行したのは15世紀末のこと。
 
新大陸を発見したクリストファー・コロンブスが現地の風土病だった梅毒を
ヨーロッパに持ち帰り、それによって世界中に広まったというのが定説だ。
 
日本でも江戸時代に遊郭が発達したことで広がり、その後、1940年代には
感染者が20万人を超えるなど爆発的に流行した。
 
②梅毒の年次推移
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しかし、第二次世界大戦後の45年に抗生物質のペニシリンが民間に
開放されたことで梅毒の患者数は一気に減少。
 
90年代には年間の患者報告数が600人を下回るなど、長らく横ばい状態にあった。
 
ところが、2011年ごろから再び増加傾向に転じると、患者数は年々増加。
 
16年には、ついに4500人を突破してしまったのだ。
 
③参考
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「梅毒の初期症状は性器のしこりやリンパ節の腫れが見られ、
進行すると体に発疹が現れます。しかし、患部には目立った痛みがなく、
 
見過ごしてしまいやすいのが特徴です。
 
さらに、症状がまったくない『無症候梅毒』のケースも多い。
 
自覚症状のないまま病気が進行してしまう場合もあるため、
潜在的な患者数はもっと多いと考えられます」(尾上氏)
 
なかでも目立つのが、都市部に住む若い女性の感染だ。
 
国立感染症研究所が昨年1月から11月の患者を分析したところ、
約3割が女性で、そのうちの約半数が20代だったという。
 
同研究所の15年の集計データを見ても、全国の患者数2690人のうち、
20~24歳の女性が240人と約1割を占めている。
 
そして、そのうち約4割の99人が東京都に住む女性なのだ。
 
10年には東京都に住む20~24歳の女性の患者数はわずか4人だったので、
5年間で約25倍に激増したことになる。これは、もはや由々しき事態といってよく、
尾上氏は「まさに『パンデミック(広範囲におよぶ流行病)』といえるでしょう」と語る。
 
実際、事態を重く見た厚生労働省は、若い女性に親しみのある
 
「美少女戦士セーラームーン」をキャラクターに起用して啓発ポスターや
特製コンドームを作成。
 
「検査しないとおしおきよ!!」とのキャッチコピーで予防や早期検査を呼びかけている。
 
④「美少女戦士セーラームーン」の啓発ポスター
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梅毒流行は中国人観光客の“夜の爆買い”が原因?
 
それにしても、なぜ現代の日本で梅毒が再び流行し始めたのだろうか。
 
患者数増加の背景はまだわかっていないが、一説として指摘されているのが、
訪日中国人観光客の増加との因果関係だ。
 
日本政府観光局の統計によると、訪日中国人観光客が初めて100万人を
突破したのは08年。彼らによる家電製品や日用品の“爆買い”が話題となり、
16年には訪日中国人観光客が初めて600万人を超えた。
 
⑤いつまで続く 中国人の爆買い!
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そして、同時に増えたのが、実は中国人観光客たちの“夜の爆買い”だという。
 
「昔から、梅毒は夜の世界と切っても切れない関係にある病気です。
 
私は、以前から性感染症ハイリスク群のCSW(コマーシャルセックスワーカー)
の患者を多く診察してきました。
 
彼女たちの治療をしていると、訪日中国人観光客の増加に合わせて、
数年前から中国人団体客の話を聞くことが非常に多くなったのです」(同)
 
中国国家衛生・計画出産委員会が作成し、東京大学医科学研究所・
アジア感染症研究拠点がホームページで公開している
 
「2015年全国法定伝染病流行状況」によれば、中国の梅毒感染者数は
15年で43万3974人、そのうち死亡症例数は58人。
 
法定伝染病で報告発症例がもっとも多いのはウイルス性肝炎で、
次が肺結核、これに続くのが梅毒だ。
 
⑥梅毒に国境はない!
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「中国の総人口は日本の約11倍ですが、梅毒患者は日本の約160倍も
いるのですから、驚異的な数字です。中国人観光客が感染経路というのは
ひとつの仮説ではありますが、日本人の性事情が数年間でここまで急激に
 
変化するとは考えにくい。なんらかの外的要因があると考えるのが、
自然ではないでしょうか」(同)
 
セックスワーカーには、夜の性風俗だけではなく昼間の仕事もしている女性も多い。
 
尾上氏は「彼女たちが夜の仕事で感染し、無自覚にパートナーに感染させている
可能性は十分に考えられます」と指摘する。
 
コンドーム着用でも完全に予防できない梅毒
 
しかも、恐ろしいのは、梅毒が誰でも感染し得る病気だということだ。
 
尾上氏によれば、「梅毒は性器同士の接触だけでなく、
オーラルセックスでも感染します。コンドームの着用だけでは、
万全な予防にはなりません。性交渉を持つ以上、誰にでもリスクはあります」という。
 
⑦梅毒の予防!コンドーム着用でも万全ではない!
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では、再び流行し始めた梅毒から身を守るにはどうすればいいのか。
 
もし心当たりがあるなら、まずは早めに検査をすることが大切となる。
 
梅毒感染の有無がわかる梅毒血清反応検査は各種病院で受けられるほか、
自宅でできる検査キットも販売されている。
 
「まさか自分が……」と他人事のように考えるのではなく、
それぞれが当事者意識を持つことが必要だという。
 
「最近では、結婚前の女性が妊娠・出産に影響のある疾患があるかを調べる
『ブライダルチェック』もメジャーになりました。
 
結婚だけではなく、新しいパートナーができたときなど、
人生のターニングポイントに『節目検診』として検査を受けることを、
男女ともにおすすめします」(同)
 
そして、万が一感染してしまった場合は、しかるべき医療機関で
「適切な処置を受けてほしい」と尾上氏は語る。
 
「40歳以下の若い医師には梅毒患者を診察した経験がない人も多い。
 
そのため、なかには誤った診察をして治療を遅らせてしまうケースもあります。
 
戦前と違い、現在の梅毒は初期段階で治療をすれば必ず完治する病気です。
 
感染拡大を防ぐには、産婦人科、皮膚科、泌尿器科などの医師たちが
梅毒の初診に対して適切な処置を行うことが重要となるでしょう」(同)
 
⑧梅毒の治療
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梅毒はもはや「過去の性感染症」ではない。
 
この病気を再び大流行させないためには、
一人ひとりの意識の向上こそが最良の対策となるのだ。
 
(文=森江里子/清談社)
 
ニュースサイトで読む:
http://biz-journal.jp/2017/03/post_18252_3.html
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ありがとうございました。

投稿者 aids : 19:34 | トラックバック

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