泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2010年08月24日

第4世代HIV迅速検査

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AIDSウイルスに感染したかどうかを、心配している方にはビッグニュースです。

採血してから15~30分で結果(成績)がでるという、従来よりも検査スピードをアップした、第4世代のHIV抗原/抗体迅速検査『エスプライン HIV Ag/Ab』が登場しました。
感染機会(心配な行為)から30日以上経っていれば安心して検査ができます。

この検査方法はイムノクロマト法を原理とし、HIV-1型および2型の抗体とHIV-1型の抗原を同時に検出でき、かつ個別にも検出できます。
このHIV第4世代の迅速検査『エスプライン HIV Ag/Ab』は、HIV-1型の感染初期には、抗原が抗体より早期に血中に現れることに着目し、この1型抗原との反応をとらえることを特徴としています。すなわち抗原と抗体の両方を検出できるということです。この1型抗原を検出できることにより、従来のウィンドウ期間(=検出できない期間)を短縮することが可能になりました。

もちろんこの検査もスクリーン検査ですから、陽性に出た場合は従来の確認検査を行うことが必要です。またこの検査はHIV-2型の感染の有無は否定できませんから、感染機会から8~12週間以降にHIV抗体検査を受ける必要があります。

しかしながら、この検査はHIV感染を心配している多くの人が、その悩みから早期に解放される福音となることでしょう。

投稿者 aids : 11:38

男性器にアレを埋め込んだ男

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先日、39歳の男性が私の診療所を受診してきました。
カルテを見ると、6年前にクラミジア尿道炎になって当院で治療した患者さん。

「今日はどうしました?」という私の問いに、彼は開口一番。

「先生、あそこのキズがふさがらないんです。腫れちゃって痛いんです」

「男性器の傷・・・?」
早速彼に詳しい話を聞いてみると、2週間ほど前に、何と自分で陰茎に、歯ブラシの柄を埋め込んだとのこと。

歯ブラシの柄の部分を切断し、表面を磨き上げ形を整えたと、淡々と説明をしてくれました。

さっそくペニスを診ると、無残にも竿の部分が赤く腫れており確かにキズがあり黄色い膿がドロドロでている。
触診してみると歯ブラシの柄と思われる盛り上がりが7箇所あることが確認できました。

「これは・・・。埋め込んだものを取らないと、キズはふさがらないですよ」

「えー・・・。どうにかなりませんか?せっかく入れたんですから。」

「無理ですね。取らないと、ますます腫れてオチンチンが使えなくなりますよ」

「バイ菌を防ぐんだったら、抗生物質を飲めば、良くなるんじゃないの?」

「ペニスが腫れているのは、歯ブラシの柄という異物が入っており、それに対する、身体からの異物反応、拒否反応です。オチンチンがいやがっているということです。このままでは、抗生物質を飲んでも良くなりませんよ」

彼はやっと納得して、「分りました。じゃあ取ってください。お願いします」
と摘出手術に同意しました。
その後、摘出手術をおこない、手術は順調無事に終了しました。

手術をしてみて驚いたことには、歯ブラシ以外に直径4~7mm大のグリーンとブルーの玉が7つも入っていました。

女性を喜ばせようとしてしたことなのかもしれませんが、おそらく不潔な操作で緑玉、青玉を埋込み残念な結末になったと考えられます。

このような男性器への「装飾」を決してお勧めはいたしませんが、もしどうしてもなさるのでしたら、自分でするのは絶対に避けてください。

将来を担う大事なところですから、専門医を訪ね、相談いたしましょう。

投稿者 aids : 11:34

口唇ヘルペスは性病なの?!

先日、26歳の既婚女性から、ヘルペスに関する電話相談がありました。

ご相談者の方と同様の疑問や悩みを持つ方も多そうなテーマなので、今回はこれについてお話いたします。

ご相談者は現在妊娠中。一週間ほど前から、急に唇がかゆくなり、しだいに腫れてきて、水っぽいものがでてきたとのこと。
口唇炎用のリップクリームをつけても治らず、下唇がピリピリし、かゆみと痛みも続いているということでした。

ネットで症状を調べた彼女は、これは「ヘルペスでは?」と思い、ヘルペスなら性病で、そうであれば医師の診察が必要なのかと迷い、私の診療所に電話をかけてきた、というのが電話相談に至ったいきさつでした。

このご相談を受けて、私がお答えした内容は以下のようなものです。

「ご相談の内容を伺いました。ご心配ですね。あなたの唇に出ている症状が口唇ヘルペスであれば、専門医が診れば、直ぐに診断ができます。
口唇ヘルペスは、普通は“熱の華“あるいは“風邪の華”と言われます。
幼少期に両親からのキスや頬ずりなどの接触でウィルスが感染する場合が多く、
あなたが子供の時に父親や母親から愛されてもらったものだともいえるでしょう。
そして、今回の症状は、おそらく何らかのストレスにより、ヘルペスが再発してきたものでしょう。
もし成人した後にだんな様からもらったものであれば、症状はもっともっと激しくでてくるはずです。

口唇ヘルペスであれば、放っておいても時間はかかりますが、一応はよくなります。
しかし治療しないで放置しておくと、顔面神経(三叉神経)にヘルペスウイルスが増殖したままの
状態で潜伏しますので、何らかのストレスにより簡単に再発するようになります。
ですから口唇に症状が出ている時に抗ウイルス剤を服用し、ヘルペスの量を減らしておく必要があります。
今回のあなたのお話からは“口唇ヘルペスの再発”が考えられますが、お電話による相談のみで、実際に「診察」してはおりませんので、断定はできません。
現在妊娠中とのことですから、お子さんのためにも、ぜひ専門医の診察を受けて、適切な処置を施してもらってください。

また、あなたの心配しておられた、口唇ヘルペスが性感染症(性病)であるか否かについては、口唇ヘルペスは性感染症(性病)ではありません。
しかし症状が出ている時に、キスやセックスをするとパートナーに迷惑をかける危険性が高くなります。
例えば、貴女の口唇にヘルペスが出ている時に、彼とオーラルセックスをすれば、彼の男性器に性器ヘルペスが移る可能性があります。
これは、立派な性感染症です。

口唇に症状が出ている時には、唾液の中にヘルペスのウイルスが多量に排泄されていますので、
注意してくださいね。」

ご参考になりましたでしょうか?
口唇ヘルペスを恐れることはありませんが、甘く見ることなく適切な対処をしてください。

投稿者 aids : 11:24

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