泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2011年11月22日

オナニーグッズ「TENGA」

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素晴らしいオナニーグッズがあることを、私も数年前から聞いてはいました。
今回、ある著名な方(女性)から、これはいいですよと、プレゼントされました。
そして「是非トライアルしてください」と言われました。
現在『TENGA』は、オナニーグッズとしては男性に売れている大ヒット商品だそうです。

『TENGA』の商品としては、定番のもの以外にEGGタイプ、フリップホールタイプなど
数十種類が発売されています。
テレビでも、この商品が時々取り上げられて放映されており、それを見た方もいらっしゃるでしょう。
このオナニーグッズを開発した方は、エンジニアとのことです。
ですから使用してみて驚きですが、内部構造はかなり精巧にできています。
と、いうことは、かなりこだわった作りになっているということです。
商品の種類は豊富で、サイズも選ぶことができ、フィット感も商品によって違います。
ですから、 お好みのものを選ぶことができます。
もちろんハードタイプもあります。
フリップホールタイプは50回程度、使用できるそうです。
大変多くの方が愛用者になっており、独身者の方はもちろんのこと、
すでに結婚している方、また単身赴任の方々にもストレス発散となり、
役に立っていると考えられます。
また、他の側面から見て、性犯罪防止に貢献しているとも思われます。
さらに、不幸な性関係による中絶の減少にも寄与できていることでしょう。

そして何よりも、性感染症の心配がないことです。安心してオナニーができます。
また、最近では、女性から男性へのプレゼントとして、ご購入される方もいらっしゃるようです。 種類は豊富で、安価であり若い人にお勧めの逸品です。
デザインが優れていますから、お部屋の棚に並べて飾っておいてもおしゃれな感じです。
男性のオナニーグッズ 『TENGA』、ぜひお楽しみください。 

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投稿者 aids : 19:06

2011年11月07日

性器ヘルペスですか?!

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私の友人(50代)の亀頭部に発疹ができ、相談を求められました。

【相談内容】
数週間前にペニスのカリの部分に痛みがあり、気が付いたらその部分が赤く若干ただれた感じでしたので、最初は毛切れか何かと思い抗生剤軟膏で経過をみていましたが、あまり改善いたしません。 痛み等はほとんどありませんが、若干、すれた時に痛み(痒み?)を感じる程度です。
恥ずかしながら御相談した次第です。しかしながら、今朝ほど患部を確認しましたら、隆起性所見(水疱)のようなものが観察できましたので、 念のため本日の写真(デジカメ)をお送り致しますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 セックスパートナーはいますが、性風俗には何年も行っていません。 ヘルペスのようにも見えますし…
どのような病気が考えられるのでしょうか? 必要な検査はありますか? 治療法については?
 恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

【回答】
ありがとうございます。
早速、「今朝の亀頭部のデジカメ写真」を拝見いたしました。
確かに亀頭冠の左に小水疱が一つとその傍にビラン(ただれ)を認めます。
またその周囲の粘膜に炎症性発赤を認めます。 この写真と患部の症状(軽い痛み、かゆみ)から診断しますと、考えられるのは貴方のご指摘のように性器ヘルペス (単純性疱疹)の再発です。
今まで、性器ヘルペスを経験したことが無ければ、現在まで不顕性感染として症状(皮膚粘膜症状)が現れないで経過して きたものと思われます。
腰仙骨神経節に遺伝子という形で潜伏(眠っていた)していたものが、何らかのストレスで目を覚まし神経線維を伝わって 皮膚粘膜症状(亀頭冠の粘膜)として現れたものでしょう。
感染しても約70%の症例で無症状に経過いたします。

このようなケースを性器ヘルペスの初発 (現在まで不顕性感染として経過したもの)といいます。 初感染ではありません。
初感染は性感染症ですが、初発は貴方にとっては性感染症ではありません。
が、パートナーにとっては性感染症になりえます。
患者さんの多くは再発例の方です。初感染で受診してくる患者さんは少ないです。

治療としてはバラシクロビル(バルトレックス)1回500mg、1日2回5日間服用してください。 外用薬は必要ありませんが、粘膜面の保護をするために、亀頭冠のビラン部に 非ステロイド系の軟膏(例:コンベック軟膏)を塗布しては如何でしょう。
粘膜症状が消失して約1週間ほどすればセックスはOKです。
また最初の「数週間前にペニスのカリの部分に痛みがあり、気が付いたらその部分が赤く若干ただれた感じでした」 については何であったのか分りません。
お役に立てればよいのですが。
貴方の大切な息子さん(ジュニア)の幸せをお祈りいたします。

投稿者 aids : 11:00

2011年11月06日

ペニスの恥垢(後編)

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受診してきた20代後半の彼のペニスに黄色い恥垢がたまっていることがわかったところまでお話しましたね。 その診察の続きです。

『ほら、見てごらん。こんなに黄色い垢がたまっていますよ。 お風呂に入ったら、めくってあげて、そーっと優しく洗ってあげてください』
「でも、先生。自分でめくって、元に戻せなくなるのでは?」
『大丈夫です。これからは入浴時に毎日、おちんちんのストレッチ運動をしましょう』
「エッ!おちんちんのストレッチ運動?!」
『そうです。めくる!もどす!めくる!もどす!いち!にー!さん!一!二!三!です。 さらに包皮輪を左右、前後に拡げましょう。包皮輪を引っ張ります。これも、一!二!三!です』

彼に包皮輪のストレッチ運動の指導を行いました。
もちろん今回の来院目的である“ブライダル性感染症チェック” としてHIV検査、梅毒、淋菌、クラミジアなどの検査も行いました。
その後、1週間後の来院を約束しました。そして、彼は1週間後にやってきました。

「先生、どうでしたか?」
『“ブライダルチェック”のHIV検査、梅毒、淋菌、クラミジアなどはすべて陰性でした。よかったですね。おめでとう。』
「ありがとうございます。ところで、先生。以前におっしゃっていただいたストレッチ運動ですが…。 痛くて、自分では、めくって洗えませんでした」
『そうですか!努力が足りないようですね』
「それに、先生。言いにくいのですが、セックスをしてしまいました。包茎の状態で、つまり包皮を被せて、 コンドームを付けてやってしまいました…」
『これからは、恥垢をきれいに取り除いてからセックスをしてください。このペニスの状態ではセックスする資格はありません。パートナーの女性に失礼ですよ。それに、毎日のおちんちんのストレッチ運動が大切です。継続は力ですからね。必ずスムースにめくれるようになりますから』
「分かりました。これからは頑張ってストレッチ運動をやってみます」

そう言って今回の診察は終了し、今度は2週間後の来院を約束してお別れしたのでした。

投稿者 aids : 22:20

梅毒の臨床について

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最近、あるドクターから相談を受けました。
少し専門的になりますが、 今回は梅毒の臨床について勉強しましょう。

【ドクターからの相談内容】
梅毒は無治療の患者は、そのままだと何年したら感染力は無くなる物ですか? 教えて下さい。
治癒判定については、ガラス板で幾ら以下とか具体的に教えてください。

【回答】
ご相談、ありがとうございます。
梅毒は無治療でもおそらく10年以上経過していれば、感染力はなくなると考えます。
ただしカルジオリピンを抗原とする検査で抗体価が16倍以上を示す症例では
治療することが望ましいと考えます。
また治癒判定については以下の様に考えてください。

●治療効果は、カルジオリピンを抗原とする検査(STS:RPRまたは凝集法)の抗体価とよく相関するので、病期に応じた十分な治療を行った後は、一般に臨床症状の持続や再発がないことを確認することが必要です。
●およびカルジオリピンを抗原とする検査を定期的に追跡して、定量値が8倍以下に低下することをお勧めいたします。
●またカルジオリピンを抗原とする検査(STS:RPRまたは凝集法)の抗体価が治療開始時と比較して 1/4(四分の一)以下に低下すれば治癒とする考え方もあります。
●なお、ガラス板の抗原検査は、2010年に中止となり検査ができなくなっております。
ここで梅毒血清反応につて勉強いたしましょう。
梅毒の血清反応は2種類あります。
1つは非特異的脂質抗原のカルジオリピンを抗原とする血清反応でSTS(serologic tests for syphilis)で、もう1つは特異的梅毒トレポネーマを抗原とする血清反応です。
STSには現在、2法ありRPRカードテスト(rapid plasma reagin card test)と凝集法があります。
また特異的梅毒トレポネーマを抗原とする血清反応には3法あり、TPHA法(treponema pallidum hemagglutination test)、 FTA-ABS法(fluorescent treponemal antibody absorption test) およびTPLA(Treponema pallidum latex agglutination)です。
専門医はこれらの血清反応を組み合わせて診断、治療法の選択および経過観察を行っています。

むつかしい話になり申し訳ございませんでした。

投稿者 aids : 13:18

2011年11月05日

ペニスの恥垢(前編)

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秋も深まり、肌寒い日のこと、20代後半のエリート・サラリーマンが受診してきました。

「ブライダル性感染症チェックをお願いいたします」
『それは素晴らしいことですね。人生の節目には、是非、STIチェックをいたしましょう』
「先生、HIV検査とSTI検査をして下さい」
『では、その前に、外陰部の診察をしますね。まず、ベッドに横になっていただけますか?おちんちんを診ますよ』

彼のペニスは仮性包茎でした。
でも包皮輪が狭く、包皮をめくるのはやや難しい状態でした。
しかし、亀頭を診る必要があるので、包皮を、そっと優しく、ゆっくりとむいていきました。  

「先生、痛い、痛いです」
少し痛そうでしたが、亀頭を半分ほど露出すると、驚きました。
陰茎の亀頭冠全周囲にわたり、恥垢の塊がびっしりと付着していたのです。
黄色の恥垢です。
黄色の恥垢は、硬いチーズの様で、それがウロコ状に整然と並んでいました。
また、その一部はすでに石の様に硬くなってしまっていました。
20年間以上の恥垢が蓄積された結果なのでしょうか。
こんな場合には、一体どうしたらいいのか。
この診察のお話の続きは、次回またすることにいたしましょう。

投稿者 aids : 10:48

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