泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2012年03月14日

「彼の金玉が3個ある!?」「精液瘤」(後編)

前回は、カップルで受診してきた彼のほうに、精液瘤の疑いがあったことをお話いたしました。
今回は、この精液瘤についてもう少し詳しくお伝えします。

精液瘤の大きさは殆どが直径2cmから4cm大ですが、もちろん、もっと大きな場合もあります。 多くは20歳~50歳代にできますが、陰嚢の腫脹だけで痛みなどはありません。
癌とも関係ありませんし、子供もつくれます。

陰嚢に触れて偶然に発見されることが多いのですが、大きくなると陰嚢が腫れて、精巣嚢腫(陰嚢水腫)との区別が難しくなる場合もあります。 精液瘤かどうかを調べる臨床診断の一つに、透光性試験があります。
陰嚢の後面から懐中電灯をあてると、精液瘤は内容が液体なので光を通しますが、精巣(睾丸)は光を通しません。こうしておおよその診断ができます。

また精液瘤に針を刺して、その内容液を採取すると、比較的透明度の高い乳白色の液体が得られます。この穿刺液を顕微鏡検査して精子が発見されれば診断がつきます。

精液瘤は小さければ、穿刺して内容液だけ採取し様子をみますが、また内容液が溜まってしまい、何回も穿刺しなければならなくなる場合もあります。
再発を繰り返す場合や大きい場合は泌尿器科医の診察を受け、手術の判断をしてもらいましょう。
この彼の場合は、精液瘤に比較的太い針を刺して、その内容液を20ccほど採取いたしました。
比較的透明度の高い乳白色の液体が得られました。

診断結果は、典型的な精液瘤でした。

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投稿者 aids : 19:22

「彼の金玉が3個ある!?」「精液瘤」(前編)

20代前半の女性が、彼を連れて受診してきました。

彼女は、開口一番こう言いました。
『先生、彼の金玉が3個あるんだけど、どうしてなんですか?3年前に付き合い始めた時には、確か左右に一つづつしか玉がなかったのに、いつの間にか右の袋の方に小さな玉が一つできて、それが段々大きくなってきて、今では金玉と同じくらいになってるんです。大丈夫かどうか、診てください。』

「それでは、診察いたしましょう」

彼は23歳のサラリーマンでした。
今までに陰嚢のトラブル等は無いと言います。
診察すると、確かに彼の右の陰嚢の中には2つの塊が触れました。
感触からすると、上に位置するのが精巣(睾丸)で、もう一つはピンポン玉大の大きさになっており、泌尿器科医の経験から直ぐに精液瘤を疑いました。

さて、この精液瘤とは何でしょうか?
その前に、精巣上体について簡単に説明したいと思います。

精巣上体は、精巣から精管まで精子を運ぶ細い1本の管が束なっている器官です。
この精巣上体の細い管腔壁の一部が弱くなって伸びてしまい、袋状に膨らみ、精子の混入した液が充満して次第に腫大して大きくなった嚢胞が、精液瘤です。

それでは、次回はこの精液瘤について、もう少し詳しくお話いたしましょう。

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投稿者 aids : 19:03

2012年03月12日

月経と片頭痛(後編)

前回のコラムでは、月経のときに起こる片頭痛についてお伝えしました。
今回は、頭痛に効果のある薬についてお話いたします。

月経の時には、効果の作用時間が、24時間と最も長い「ナラトリプタン」(商品名:アマージ)が良いと言われています。
効果が出るまでには時間がかかるので、消炎鎮痛薬も一緒に飲むといいでしょう。

また、直ぐに治したい時は、効果の発現が早い「リザトリプタン」(商品名:マクサルト)をお勧めいたします。
この薬により、痛みはかなり抑えられ、患者のQOL(=生活の質)は向上し、普通の生活が送れるようになります。
患者にとっては大変嬉しいことでしょう。

一方、男性の患者数が女性の3~7倍多いのが「群発頭痛」です。
この頭痛は片目の奥を刺すような痛みが、数週間から数か月間持続し、ほぼ毎日1、2時間は起こります。

この頭痛には、トリプタンの自己注射薬が最も効果が高いようです。
患者によって、薬の効果は異なります。頭痛患者にとって、頭痛薬の種類が増え、薬の選択肢が増えたことは、大変喜ばしいことですね。

 

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投稿者 aids : 22:17

月経と片頭痛(前編)

10年以上片頭痛に悩まされている30代の女性が受診してきました。
話を聞いてみると、その片頭痛は月に1~4回起こり、片頭痛が始まると3~4日以上続くと言います。さらに、その症状は、頭の片側がガンガン痛み、嘔吐してしまうこともしばしばあるようです。
その結果、仕事も休まなければならない場合もあるそうです。
しかし、日本国内での最も多い頭痛は、頭が締め付けられるように痛くなる「緊張型頭痛」で、片頭痛ほど痛みは強くないと言われています。

片頭痛は、脈打つように強く痛み、吐き気を伴い、動くと悪化することもあります。
片頭痛の患者は、国内では、800万人以上いると考えられ、何と、女性の患者数は、男性の2~4倍だそうです。

その女性患者の6割以上が、月経の前や最中に起こる片頭痛を経験している、とされています。大学病院教授は、「女性の片頭痛患者の割合は、初潮後に増える。片頭痛の発症には、女性ホルモンの変動が関係している」といいます。

さらに「月経時片頭痛」は①痛みが長く続く②痛みが強い③薬が効きにくく、一度治まっても再発しやすいといった特徴があると述べています。

では来週は、これらの痛みを抑える頭痛薬についてお伝えしましょう。

 

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投稿者 aids : 16:44

2012年03月01日

『第8回 川崎STI研究会』

今回は毎年恒例の性感染症研究会の報告です。

今年は『第8回 川崎STI研究会』を2月25日(土)午後4時から川崎日航ホテルにて開催いたしました。

【講演】
総合司会 ヨシムラ医院 院長 吉邨泰弘先生

<演題1>
座長:宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦
「MSM(Menwho have sex with men)と性感染症」
演者:しらかば診療所 院長 井戸田一朗先生

MSM(ゲイ)と性感染症に関するお話で、大変興味ある講演でした。
しらかば診療所がマニアックなクリニックであること、且つ、井戸田先生がMSMのSTI/AIDSの世界で活躍されていることが良く分かりました。


< 演題2>
座長:帝京大学医学部付属溝口病院 皮膚科教授 清 佳浩先生
「梅毒に関しての当院の動向」
演者:横浜市立市民病院 皮膚科科長 毛利忍先生

梅毒に関しては日本国内でがあまり講演がありません。興味ある講演で大変、勉強になりました。


研究会出席者 約70名
研究会終了後 情報交換会をいたしました。

代表世話人 尾上泰彦(宮本町中央診療所)
世話人   吉邨泰弘(ヨシムラ医院)
世話人   清 佳浩(帝京大学医学部付属溝口病院)
世話人   吉川琢磨(よしかわ耳鼻咽喉科)


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投稿者 aids : 19:01

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