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減少している“男性の淋病(淋菌性尿道炎)”(後編)

 

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前回は、男性の淋病について、患者の膿の分泌物を顕微鏡で検査し、多核白血球の中に双球菌が貪食されている所見を確認できれば、これを臨床的に"淋菌性尿道炎"と診断できることをお話しました。

診断方法は、その他にもあり、排膿している分泌物を、淋菌培養の専門培地(サイヤマーチン寒天培地)に塗抹し、培養し診断する方法も、そのひとつです。 淋菌は嫌気性菌ですから、この培養には炭酸ガス発生装置が必要となります。

また最近では、遺伝子検査(核酸増幅法 PCR法・SDA法・TMA法・タックマンPCR法)が可能となり、多くの臨床医はこの遺伝子検査を用いた尿検査で淋病を診断します。

尿検査は最後の排尿後2~3時間たってから、採尿した方が検査に適しています。
排尿初期の尿20~30ccほどを採尿し検査を行う研究所に提出します。
4~5日で、検査成績が研究所から送られてくるのですが、これでは、淋病の治療のスタートが遅れてしまいます。
排膿している分泌物をガラス板に薄く塗抹し、グラム染色し、顕微鏡で多核白血球の中に双球菌が貪食されている所見を確認できれば、これを臨床的に"淋菌性尿道炎"と診断でき、その日に(約15分後)に治療が開始できます。

患者のためにも、この顕微鏡検査を外来検査として是非、施行してほしいものです。 老婆心であればよいのですが。




2012年11月16日

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