泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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クラミジア 感染気づかず

6月20日(火)讀賣新聞 朝刊 医療ルネサンス「性感染症のいま」

5回シリーズの3回目に私のクリニックのクラミジア感染症に関する記事が

掲載されましたので報告いたします。

■クラミジア 感染気づかず

「性器と喉、両方からクラミジアが見つかる人も多いんだよ」。

東京都新宿区にあるプライベートケアクリニック東京。

検査を受ける男性に医師が説明する。

20170627_01.png

若い人への感染が多いクラミジア。

感染すると女性はおりものの変化など比較的軽い症状があるか、

表れない場合もある。

男性は性器の異常で気づくことが多い。

国が定めた約1,000か所の医療機関から報告があった性感染症は、

ピークだった2002年の4万3,000人に比べ、昨年は2万人近く

減っているが、他の性感染症に比べれば圧倒的に多い。

一般的な性生活を送っている人にも感染が見つかる身近な病気だ。

身近な理由は、感染者との1回の性行為で、

30~50%の確率でうつると言われる感染力の強さにある。

1%未満とされるHIV(エイズウイルス)と比べるとよく分かる。

口と性器の間で感染することも多いほか、キスだけでも感染する

と言われ、カップルが互いに完治と感染を繰り返す

「ピンポン感染」が問題となっている。

パートナーの男性と一緒にクリニックを訪れた女性(41)は最近、

別の病院でクラミジアの治療を受けた。

「思い当たることが全然なかった。本当に不思議ですよね」と首をかしげる。

女性がクラミジアに感染したのは約4年ぶり。2回目だった。

前回は検査で見つかるまで症状は一切なかったといい、

クラミジアの症状も知らなかった。今回は性器にかゆみが出た。

当初はナプキンのせいだと思っていたが、その後、

ナプキンを使っていない時でも、かゆみは治まらなかった。

人前ではかくことができない部分だ。

我慢できず受診した結果、クラミジア感染が判明した。

クラミジアの恐ろしさは特に女性の場合、感染に気づかない

まま症状が進行しやすいこと。

男性の場合、尿道から分泌物が出たり、排尿時の違和感や痛み

があるので気づきやすい。

一方、女性は症状が出るのは2~3割。

おりものの色や量が変化したり、下腹部の痛みが出たりするが症状は軽い。

感染に気づかないまま、子宮頸管や卵管が炎症を起こし、

不妊や流産などの原因にもなりうる。

【参考症例】女性 クラミジア性子宮頸管炎

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女性は完治したものの、今度はパートナーの性器に異変があるように感じた。

心配になり、一緒に全ての性感染症を受けようとクリニックを訪れた。

検査の結果、幸い2人とも感染はないことが分かった。

「今、不妊治療を受けています。今後のことを考えると、しっかり調べてもらい、

お互いに安心できました」と頬を緩ませた。


2017年06月27日

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