泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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病気なの?子供産めるかしら!?心配・・・

【相談者】
27歳 女性・既婚・子供無


【相談内容】
①以前、同時期にクラミジアとトリコモナス膣炎にかかり、病院から処方された抗生物質を服用しました。 その後旦那の仕事の都合で引っ越す事が決まり、かかりつけの病院も変わりました。
②新しい病院に変わってから再検査を受けたところクラミジアは(-)でした。
トリコモナス腟炎の方は何も言われないままクラミジアが(-)だったら、先生は大丈夫だと言っていましたがどうも納得いきません。
③何回か不正出血もあり先生に告げると、子宮の入口が赤くただれてると言われ、出血もそのせいだといわれました。
④その炎症を抑える腟錠をもらいましたが、何かまた別の病気ではないかと不安で仕方ありません。
⑤普通に妊娠できますか?


【回答】
①貴女は以前、「クラミジアとトリコモナス腟炎にかかり某産婦人科で処方された抗生物質を服用した」この件に関しては、クラミジアは適切な抗生物質を服用すれば治癒いたします。が、トリコモナス腟炎に対してはどのような処置をしたのでしょうか。
トリコモナス腟炎の治療には内服薬と腟坐剤がありますが、如何したのでしょうか?
貴女は「抗生物質を服用した」とありますが、「トリコモナス原虫用の内服薬とクラミジアの抗生物質を同時に服用したのではありませんか?」
病院でもらった薬の説明書があるでしょうから、何を服用したのか一度チェックしましょう。


②貴女は新しい病院にて再検査を受け、
「クラミジアは(-)でした。トリコモナス腟炎に関しては何も言われなかった」
「先生は クラミジアが(-)だったら大丈夫だと 言っていましたがどうも納得できない」
とありますが、婦人科外来での検査にて先生が何の検査をしたかのかがポイントです。
勿論、クラミジアの検査をして後日、検査結果の報告を受け、陰性でした。検査当日、その先生は子宮頸管・腟分泌物の塗抹検査(顕微鏡検査)をしてトリコモナス原虫がいないことを確認していたのかもしれません。先生の説明不足かもしれません。事実はわかりませんね。


③貴女が何回か不正出血もある」と告げると、先生は「 子宮の入口が赤くただれているせいで、出血もそのせいです。」と言った。
先生の説明のとおり、若い女性の子宮腟部は生理的に糜爛(ビラン)がありただれています。
ただれていますから、出血しやすい状態にあります。またこの生理的な糜爛(ビラン)というタダレは、妊娠には必要な状態だといわれています。


④貴女は
「その炎症を抑える腟錠をもらいました」
「何かまた別の病気があるのでしょうか?」
「不安で仕方ありません」
これはこまりましたね!病院で「炎症を抑える腟錠」を投与されたのですから、その説明書を見れば、何の薬かわかるはずです。貴女に対する先生の説明不足と貴女の理解度にも問題があるようです。
これは失礼いたしました。


⑤「普通に妊娠できますか?」
これもこまりましたね!「子は神からの授かり者ですからね!」
先ずは、神にお祈りいたしましょう!私からもお祈りしておきます!合掌・・・・・・・・・・!


さて、クラミジア感染症の一番の問題点は、後遺症である不妊症です。クラミジアに対し適切な抗生物質を服用終了後、2週間以上経ちましたら、クラミジアの治癒判定検査(遺伝子増幅検査PCR法、SDA法など)を受け、治っていることを確認いたしましょう。そして安心いたしましょう。検査はすべて保険でできますよ。


最後に、貴女には「心に平和」がありません。
再び新たな婦人科を訪れ「クラミジアとトリコモナス」について検査を受け心に平和を取り戻しましょう。
そして健康なセックスをし、健康な赤ちゃんを授かりましょう。


それでは、ごきげんよう。


2008年09月29日

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