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コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

研究論文として 「医学と薬学」( 第74巻 第2号 p.189~199 共著)に

TACASを用いたcobasHPV測定論文が掲載されましたので報告いたします。


2017年1月27日 発行  (株)自然科学社

林 聖子:(株)医学生物学研究所

柏原愛子:ロシュ・ダイアグノスティックス(株)

佐伯健二:公益財団法人 愛媛県総合保健協会

尾上泰彦:宮本町中央診療所

①「医学と薬学」 論文掲載誌

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 【はじめに】

子宮頸癌の発症はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因とあると

言われており、中でもHPV16型および18型の持続感染は、前がん病変へ

の進行リスクがその他の高リスク型HPVに比べて高いとされているため

早期発見、早期予防が重要となります。

子宮頸癌の早期発見については、細胞診検査が主な検査法でありましたが、

近年HPV DNA検査との併用検診により、感度、特異度ともに向上することが

報告されています。

②コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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③コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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 今回、検討を行った「コバス4800システムHPV」(コバスHPV)は、PCR検査用

自動測定装置を用いて核酸抽出から核酸増幅・検出まで全自動で実施し、

HPV16型および18型の同定と、HPV16、18型以外の12種類の高リスク型

HPVを一括で検出します。現在、国内において普及しているHPV一括検査試薬

としても臨床的有用性が確認されており、子宮頸癌への進行リスクが特に高い

女性を鑑別し、子宮頸癌予防へ繋がることが期待されています。

 

④コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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⑤コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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また近年、国内において普及している液状化検体細胞診(LBC:Liquid-based cytology)は、

専用の固定液の中に細胞を回収することで細胞診標本の標準化を図るだけでなく、

DNA検査をおこなう際の保存液として有効活用されています。

 

⑥コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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現在、国内で流通しているLBCは数種類ありますが、国内において開発されたLBCシステム

TACAS保存検体を用いて、コバスHPVで最小検出感度および2~8℃と30℃保存条件

下におけるDNA保存安定性を確認したので報告いたします。

  

⑦コバス4800システムHPVにおけるTACAS検体保存安定性検討

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【結語】

LBC検体は、1回の細胞採取で細胞診検査からHPV DNA検査などの追加検査まで実施

できるため、受診者にとって負担が少なく非常に有用なツールであります。

今回のコバスHPVを用いたTACAS検体でのHPV DNA保存安定性検討においては、

2~8℃保存および30℃保存で6週間安定しておりメーカー保証の4週間の保存安定性が

確認できたとともに、細胞診標本作製前後の検査において測定を行うにあたり十分な

保存安定性を有していることが示されました。

 

⑧蝶

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2017年02月06日

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