泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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STI自己検診の効果と限界

性感染症は他の病気と比べても、きわめてプライバシーの高い病気です。

「できたら婦人科の検診台には乗りたくない。」
「診察を受けることに抵抗がある。」
そんな女性の声をよく耳にします。

先日相談を受けたある女性も
「彼が時々、性風俗に行くので性感染症が心配なんです。
 最近、帯下(おりもの)が増えてきたし、クラミジアではないかと思って・・・。
 でも病院にいくのには、どうも抵抗があります。」と仰っていました。


実は「自己検診」という手段もあります。
最近では、クラミジア・淋菌の検査キットにおいて、
遺伝子レベルの検査ができるようになりました。
精度・検出率が極めて高く、医療機関で行う検査とほぼ同等の精度があります。
ですから、検体採取さえうまくできれば、検査キットによる自己採取の郵送検診でも
ほぼ正確な検査結果がでます。


しかし、外陰部の診察だけは自己検診ではできません。
これには専門的な知識・技術が必要となります。
性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、性器伝染性軟族腫(ミズイボ)、軟性下疳、
ケジラミ、疥癬(ヒゼンダニ)などは専門医でなければ診断できません。

自己検診はそのメリットとデメリット、
つまり、「自己検診で何がわかり、何がわからないのか」を
はっきり知った上で行うならば良いと思います。
ただ、もし検査の結果、陽性成績や問題点が出た場合は、
早急に婦人科を受診することが大事です。


一番肝心なことは「放置しないこと」です。
性感染症を放置したことによって、子宮外妊娠、卵管狭窄、骨盤腹膜炎を起こしたり、
不妊症など、のちのち悪影響を及ぼしてしまうことは多々あります。

ご自身の体のためなのですから、勇気を持って婦人科の扉を叩きましょう。

貴女の性の健康をお祈りいたします。



2008年12月16日

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