泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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エッチしてないのに左の睾丸が痛い!(その1)

秋も深まり、紅葉狩の季節となりましたね。

先日、32歳の独身という男性サラリーマンが来院してきました。
見るからに、真面目そうな感じです。
来院の理由を尋ねると、『先生、左側の金玉が痛いです』とのこと。
そこで問診を開始しました。

「痛みは何時からですか?」
『1週間ほど前からです』

「熱はありますか?」
『熱はありません』

「最近、女性との性的交渉はありましたか?」
『たしか・・・最後は半年ほど前になります』

「ふむ・・・右の金玉は痛くありませんか?」
『大丈夫です。痛いのは左だけです』

次にペニスと陰嚢を診察しましたが、特に赤く腫れるなどの異常所見はありません。
睾丸も左右共、正常でした。
ただ、左の陰嚢が右に比べるとやや大きく膨らんでいるようでした。

私はピンと来て、さらに尋ねました。
「痛みは、どういう時に感じますか?」
『そうですね、座っている時かな!』

「それは痛いというより、不快感や金玉を握られている感じですか?」
『そうなんです、先生の言うとおりです!』

「もしかして、あなたの仕事内容はパソコン業務の時間が長くありませんか?」
『えっ?・・・あぁそうですね!そういえば、パソコンをしている時に痛くなります』

「わかりました。それでは、立ちあがって診察しましょう」

彼を立たせてその姿勢で陰嚢を診察すると、
左の陰嚢の方が、確かに右よりダラリとさがっています。
さらに左の陰嚢内容を丁寧に触診すると睾丸のほかに何か柔らかい物が触れます。
しかもこのホワホワ、フニャフニャした柔らかい物の方が、睾丸より下に位置しています。

この柔らかい物は泌尿器科の専門医が触診すれば直ちに判る物です。
答えは血管のコブ。詳しくいうと静脈のコブです。
陰嚢の皮膚の表面からこの静脈のコブがデコボコして見えます。
彼の病名は「精索静脈瘤」だったのです。

そしてこの精索静脈瘤がどんなものであるかは、次回にお話しすることにしましょう。


2009年10月19日

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