泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【性器の悩み】 > 睾丸回転症って何?(前篇)

睾丸回転症って何?(前篇)

kabuto.gif



先日、あるお笑いタレントが睾丸回転症(精巣捻転症)で入院し、
緊急手術を受けたことがニュースになりました。


睾丸回転症とは、キンタマが袋の中で回転し、血管や精管がねじれてしまうものですが、
一体どんな病気なのでしょうか?
また、誰にでも起きてしまうことなのでしょうか?
少し専門的になりますが、今回と次回の2回にわたって、この睾丸回転症について勉強してみましょう。


正常な睾丸は、陰嚢の内で付着して動き回らないように固定されています。
しかし、その付着部位が細かったり固定が不完全ですと、
陰嚢の中で睾丸が回転してしまうことがあります。


回転(捻転)の程度は90度から720度(2回転)、1080度(3回転)とさまざまです。
陰嚢の内で精管、血管、リンパ管、神経などが集まった索状様の束を精索といいますが、
この精索が何回転もよじれると、睾丸に行く血管が遮断され、徐々に血流が障害されてしまいます。
睾丸回転症は、この精索を軸にして睾丸、副睾丸が回転するもので、精巣捻転症ともいいます。


睾丸回転症は思春期から30歳ごろまでの若者に多く発生しますが、
新生児期、小児期でも起こる可能性があります。
ちなみに、冒頭に書きました、先日これを発症したお笑いタレントは35歳でした。


症状は、突然に陰嚢から下腹部にかけて激しい痛みと腫れ、発熱が起こることが多いです。
その他には腰痛、腹痛を訴えることもよくみられます。
小児の場合は、自分で症状を良く説明できないので、単に腹痛を訴えたり、
不機嫌になるだけのこともあるので注意が必要です。


放っておくと陰嚢が徐々に赤く腫れてきて、吐き気と嘔吐を伴い、
時にはショック状態に陥ることもありますので、痛みを感じたらあまり我慢せずに、
医師の診断を仰ぐことが大切になります。


次回は睾丸回転症の治療法についてご紹介しましょう。




2009年08月19日

Entries

Archives