泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【淋病】 > 性感染症の王様!俺は淋病だ! どうだ!まいったか!

性感染症の王様!俺は淋病だ! どうだ!まいったか!

「先生、オチンチンの先から膿が出てきた。 おしっこのし始めが痛てー!あの女にやられた!まいった!」と言って23歳の調理師が来院してきた。

ペニスを診察してみると尿道口の周りが赤くなり、先から黄色い膿がでていた。
「これが有名な淋病(りんびょう)だよ!」と言うと、男性は「マジー!?」

さて、淋病ってどんな病気なのでしょうか、『淋しい病気』という意味ではありません!
“淋”には“しずく”という意味があります。
淋病になると尿道の炎症で尿道の内が狭くなり おしっこをする時、激しい痛みがあり、怖くて尿を“しずく”のようにしか出すことができなく なるためこの“淋病”という病名がついたそうです。

淋病は性感染症の中でも最も代表的な病気で淋菌がその原因です。
腟性交・オーラルセックスなどの口腔(こうくう)性交・肛門性交により感染します。
男性では主に尿道、女性では子宮頸管(しきゅうけいかん)に感染します。
またオーラルセックスの増加により咽頭(いんとう:「のど」のうち、鼻から食道に続いていく部分)に感染します。
さらに肛門性交により直腸にも感染します。

感染すると男性では約95%の人に症状がでます。 感染機会から2日~7日後に、尿道から黄色い膿が出てくるので、下着が汚れるので 「やばい!やられた!!」と思います。
また、尿道の出口が赤く腫れあがることもあり、排尿のし始めに痛みがあることが特徴的です。
はっきり症状が出て、まるで『俺は淋病だ!どうだ!まいったか!』と主張しているようです。

しかし、症状がはっきり出るから治療につながるわけです。
それに反して、残念なことに女性では淋菌に感染しても症状が出る人は少なく、無症状のことが多いのです。 症状が出る人は20~30%程度です。
症状が出ると膿性の帯下(おりもの)、帯下の増量、 不正出血、下腹部痛、排尿痛などがあります。
感染していることに気づかないで、放置していると男性では、感染が尿道の奥の方に進み、 急性前立腺炎(きゅうせいぜんりつせんえん)になり、 高熱が出て、排尿ができなくなったりして入院することにもなりかねません。

さらに感染が精管を通じて精巣上体に進み、精巣上体炎(副睾丸炎)になると、 陰嚢が赤く腫れあがり、触ることもできなくなるほど痛みが激しく、高熱がでます。
運が悪いと男性不妊症という悲惨な結末を迎え、子供ができなくなるかもしれません。
女性では、さらに恐ろしく、無症状に経過すると子宮付属器炎(卵管炎、卵巣炎)、骨盤腹膜炎へと 感染が拡がっていき、不妊症につながる恐れがでてきます。

また最近オーラルセックスの日常化により、淋菌が咽頭から検出される人が非常に増えています。
性器が淋病になっているとその中の約30%の人が咽頭にも淋菌を持っています。
咽頭は淋菌に感染していても自覚症状はほとんどありません。
まさに“口は災いのもと”といわれ『咽頭は性感染症の温床』なのです。

オーラルセックスをした場合は咽頭の淋菌検査も受けましょう。
最近の淋菌は耐性菌が出現してきて、治療が大変難しくなってきています!
必ず専門医を受診しましょう!あなたの悩みがパートナーの悩みにならないように!
セックスのエチケット!初めから最後まで忘れずにコンドーム!



2007年06月08日

Entries

Archives