泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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肛門の淋菌感染症

3月に入り、前回ご紹介した男性同性愛者の患者さんが、
梅毒の経過観察のための血液検査に来院してきました。
その際に新たに申し出があったのは、
パートナーが肛門クラミジア感染症になったので、
自分も検査をして、必要があれば治療を希望すると言うことでした。

そこで少し大変でありましたが、
念のため咽頭・尿道・肛門の3箇所のクラミジアと淋菌の遺伝子検査を行いました。
そして、今回の検査の成績が出るまで、とりあえずクラミジアの治療を先に行いました。
ところが7日後、肛門からはクラミジアではなく、なんと淋菌が検出されたのです。
ということは、彼は肛門淋菌感染症ということになり、淋菌の治療(点滴、内服)を行いました。

肛門の淋菌感染症は臨床的には比較的珍しい部類に入ります。
しかし、本当はそうではありません。そこには知られざるカラクリがあるのです。

実は本来は淋菌にしろ、クラミジアにしろ検出頻度が高いのは
性器・肛門・咽頭・眼の順なのです。
ですから女性でも肛門の検査をすればクラミジア・淋菌はかなり見つかると考えられます。
しかし、実際は、医師が肛門の検査をほとんどしないので、淋病を発見できないでいます。
つまり、医師の無関心が、肛門の淋菌感染症の症例が少ないことの大きな原因となっているわけです。

肛門領域の性感染症は、まだ手付かず、未開発の秘境にも例えられるかもしれませんね


2009年03月19日

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