泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【淋病】 > (1)淋菌性咽頭炎! 「のどが淋病!」

(1)淋菌性咽頭炎! 「のどが淋病!」

前回、性風俗店(ピンクサロン)にてオーラルサービスを受け髄膜炎菌に感染した男性の例をご紹介しましたが、今回も、おなじく風俗店のオーラルサービスによる性感染症のひろがりの実例をご紹介いたします。


2月のある寒い日、37歳の男性会社員が私の診療所に来院して来ました。
話を聞くと、5日前、友人と酒を飲んだ勢いでピンクサロンに行きオーラルサービスを受け、
さらにその風俗嬢と濃厚なキスを交わしたとのこと。
そして、その3日後の朝、尿道口の先から黄色いクリーム様の膿が出ているのに気づいのだそうです。
「まずい!やられた!」と思ったそうですが、もう時すでに遅し。
尿道口の周辺をよく見ると、赤くなり少し腫れています。
さらに排尿時に、尿の出始めが痛いと訴える…。


これが典型的な淋菌性尿道炎の症状です。
まずは性器の診察を済ませ、詳しい尿・尿道分泌物検査を行いました。
次に咽頭を診察したところ、ノドは赤くもなく、腫れてもいませんでした。
自覚症状もありません。
しかし私は、念のため咽頭の詳しい検査も行ってみました。
その結果、尿検査・尿道分泌物の検査では淋菌培養検査が陽性、
遺伝子検査でも淋菌が陽性ですが、クラミジアは陰性でした。
また咽頭検査の方では、淋菌の培養検査が陽性、
さらに遺伝子検査(スワブ法・うがい液法)でも淋菌が陽性でしたが、
クラミジアは遺伝子検査(スワブ法・うがい液法)で陰性でした。


つまり、この男性は風俗嬢のオーラルサービスとキスの結果、
「淋菌の生殖器・咽頭の同時感染」ということになったわけです。
症状がないからといって喉の検査をしなければ、咽頭の淋菌感染を見逃すところでした。
私の経験から、念のため喉の検査もやった方が良いと判断したが、それが良い結果をもたらしました。
症状がないからこそ、検査で確認するべきなんですね。
おかげでこの男性は、しっかり淋病の治療ができることになりました。


しかし、『口は災いのもと』とはよく言ったものです。
やはり『君子危うきに近寄らず』という姿勢が大切ですね!
でも酒のせいで『君子豹変す』だったのでしょうか、この男性は・・・。


やや余談が長くなりました。
淋菌性咽頭炎については、次回に詳しくお話しすることに致しましょう。


2009年03月06日

Entries

Archives