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ペニスのイボイボ!真珠様陰茎丘疹て何なの?

先日、診療所に26歳の独身男性がやってきました。
開口一番、
「先生、ペニスのイボイボが気になって仕方ありません。
何かの病気ではないかと心配なんです!」
とのこと。そこで詳しく話を聞いてみました。


彼の話によると、
「約2年ほど前より陰茎冠状溝(カリ)の小さなイボイボに気づいてはいたんです。
でも、大きくなる様子もないし、痛みや痒みもないのでそのまま放置していました。
ところが最近、性風俗に行ったところ、風俗嬢に
『それは尖圭コンジローマじゃないの?放っておいたらまずいんじゃないの?』
と言われ、急に心配になりこちらに参りました」ということで、大変心配そうな様子です。


さっそくペニスを診察すると陰茎冠状溝(カリ)のほぼ全周にわたり
径1~2ミリ大の半球状のイボイボが沢山ありました。
色は肌色で、少し光沢があります。
私はすぐに、「このイボイボは病気ではありません。安心してください」と、
彼に教えてあげました。


泌尿器科医が診れば直ぐに分ることですが、
これは『真珠様陰茎丘疹( Pearly penile papules))と言います。
症状としては、亀頭冠・陰茎冠状溝に沿って、径1~2ミリ大前後の常色ないし
褐色の半球状小結節が1~3層性に整然と配列している状態です。
日本人男性の20~40%に認められる生理的変化で、
イボイボの形や色には個人差があり様々です。
痛みや痒みなどの自覚症状もありません。


イボイボができる原因は(少々専門的の説明になりますが)、
組織学的には真皮内の血管の増生と繊維化です。
性感染症ではありませんからヒトに移す心配はありませんし、
治療の必要はまったくありません。


診断は専門医が診れば目視で簡単に分りますが、
尖圭コンジローマとの鑑別が必要な場合には、病理組織学的検査を行うこともあります。
このイボは多くの男性に生じる生理的な変化で、
性感染症ではなく、治療の必要がないことを説明します。


しかし時折、患者さんに治療の必要がないことを説明しても納得しない人もいます。
患者さんが「それでもこのイボイボを取ってほしい」と強く希望する場合には、
電気メス焼灼術、炭酸ガスレーザー蒸散術を行うこともありますが、
基本的には病気ではありませんから、手術は勧めません。


診断のコツ・ポイントは、陰茎を手指で保持し、包皮を完全に飜転(ほんてん)し
亀頭冠・冠状溝(カリ)を診ることです。
真珠様陰茎丘疹の場合、冠状溝に沿って小結節(イボイボ)が多発し整然と配列し、
鶏冠状やカリフラワー状になることはありません。
大きさもほぼ同じで、大きくなる傾向はありません。


若い男性は、一度でもセックスをすると、
それまであまり見なかった自分のペニスを見るようになり、
イボイボを見つけるとインターネットで勉強し、尖圭コンジローマと思い込んで心配し、
受診してくることがよくあります。
また時に、専門医以外の診断を受けると、尖圭コンジローマと誤診され、
過剰な治療をされるケースもありますから、ご用心!


真珠様陰茎丘疹( Pearly penile papules)の悩みは
若い男性にとってはめずらしくはなく、
臨床現場ではむしろ尖圭コンジロームより多くみられます。
貴方のペニスにも、そして貴女の彼のペニスにも『小さな真珠』が見つかるかもしれませんよ。


それではごきげんよう!




2009年01月20日

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