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講演「アトラスで見る梅毒の臨床現場 」

講座報告です。
私は講義2を担当いたしましたので報告いたします。。
 
日時:2017年1月22日(日)
会場:林野会館603中ホール
文京区大塚3-28-7
 
主催:公益財団法人 性の健康医学財団
 
対象:医師、その他医療従事者

【第8回臨床現場の医師のための性感染症最新講座
ジカウイルス・TORCH症候群を含めた性の健康・STD講座】
 
日本性感染症学会認定研修5単位取得講座
 
私は【講義2】を担当いたしました。
 
私の演題は「アトラスで見る梅毒の臨床現場」です。
 
司会は根岸曉 事務局長です。

 
 
①第8回臨床現場の医師のための性感染症最新講座

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②第8回臨床現場の医師のための性感染症最新講座

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③講義2:演題:「アトラスで見る梅毒の臨床現場」

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私の【講義2】の演題は「アトラスで見る梅毒の臨床現場」です。
約50分の講座となりました。
 
講義の抄録:
先生方ご存知の通り「今や、梅毒はパンデミック状態」
大きな社会問題になっている。
忘れてはならない梅毒。
昔の病気と思われていた梅毒。
忘れられていた梅毒。
そういう意味では再興感染症でもある。
梅毒は全数報告で、どんな医師でも「梅毒」と診断したら
都道府県知事に7日以内に届け出る義務がある。
 
それでは何故、梅毒が増加しているのか?
何故、この5年間で梅毒が急増したのか?
しかも、なぜ、若い女性に急増しているのか。
確かに、先天梅毒児も毎年増加傾向にある。
疫学調査によると、男性のピークは20~40歳である。
それに比して、何故か、女性のピークは20~24歳にある。
その原因、理由はわからない。
しかも、この謎に迫る疫学的調査をすることができない。
でも、この原因、謎に挑戦してみたい。
梅毒の疫学的調査、病因、臨床症状、第1期、第2期、第3期、
第4期。
HIV感染との関係。
梅毒の感染効率は約30%と言われている。
診断、治療、臨床医の落とし穴!
そして予防!
この梅毒の臨床現場にアトラスで迫ってみたい。

 
 
④講義2:演題:「アトラスで見る梅毒の臨床現場」

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講義内容は以下の如くです。
1.疫学的調査の報告。
2.梅毒が何故、急に増加したのか。
3.梅毒トレポネーマの特徴。
4.梅毒の分類。
5.第1期 顕症梅毒の症状。
初期硬結・硬性下疳・無痛性横痃。
性器外硬性下疳。
6.第2期 皮膚症状:バラ疹、乾癬、脱毛、
扁平コンジローマ、口腔咽頭粘膜斑。
7.第3期 結節性梅毒疹、ゴム腫。
8.第4期 神経梅毒。
9.悪性梅毒。HIV感染との関係。
10.眼科領域の梅毒。
11.日本ではみられない軟性下疳。
12.鑑別診断。視診技術。
13.診断・検査
14.治療 「臨床医の落とし穴!」
15.梅毒の予防

 
 
⑤恐るべし『悪魔のお土産』梅毒?

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⑥梅毒は全数報告・医師は発症届け出の義務

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1.疫学的調査の報告。
 
⑦疫学的調査の報告。

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梅毒は1940年代後半(戦後)は20万人も報告されていました。
その後、抗菌薬(ペニシリンなど)の登場により激減しました。
1967年の約12000人をピークに減少しました。
1997年には500人以下になったこともありました。
その後、やや微増傾向にありましたが、2011年(827人)からは様相は一変し、
増加に転じ、2013年には1200人を超し、2014年には1600人を超し、
2015年には2698人とアウトブレイクし、2016年にはなんと、
4518人と激増し、真にパンデミック状態となりつつあります。
今年(2017年)は1万人をオーバーするのではないかと、危惧する専門家もいます。
梅毒、恐るべし!
梅毒患者はこの5年間で約5倍と激増しています。
国立感染症研究所では梅毒を「注目すべき感染症」に指定し注意喚起しています。
 
2.梅毒が何故、急に増加したのか。

 
⑧梅毒は何故、急に増加したのか。

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5.第1期 顕症梅毒の症状。
初期硬結・硬性下疳・無痛性横痃。
性器外硬性下疳。

 
⑨性感染症クイズ  【解答】梅毒の硬性下疳

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6.第2期 皮膚症状:バラ疹、乾癬、脱毛、
扁平コンジローマ、口腔咽頭粘膜斑。

 
⑩第2期梅毒 口腔咽頭粘膜斑(butterfly appearance)

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10.眼科領域の梅毒。
 
⑪眼の梅毒感染

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14.治療
治療ガイドライン。
ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応。
治療の問題点。
HIV患者の梅毒の治療。
「臨床医の落とし穴!」

 
⑫臨床医の落とし穴!

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15.梅毒予防の基本。
臨床現場での患者への指導が最も大事である。

 
⑬梅毒予防の基本

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コンドーム!最初から最後まで!

⑭ご苦労様でした!イタ飯:ラ ベッカータにて!

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ごちそうさまでした!




2017年02月13日

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