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梅毒の再感染患者の悩み

40代の男性から梅毒の再感染の悩みについて相談がありましたので報告いたします。
 
【相談内容】

13年前に梅毒に感染して治療済の者です。

定期的に自費のSTD郵送検査で梅毒とHIVを検査しており、今まで陰性でした。
 
しかし、今回、梅毒が陽性反応となり、皮膚泌尿器科を受診しました。

結果は、HIV(-)梅毒(+)でした。
TP抗体定量354.0U/ml(再検同値) RPR定量276.0R.U.(希釈再検済 20倍)で、処方はアモキシシリンカプセル250を1日1錠4回です。

この数値からみて、梅毒感染何期になるのか教えて頂けますでしょうか?

また、感染してからどれくらい経過しているかわかりますでしょうか?
 
また、治療期間はどれくらいと推計されますでしょうか?
 
主治医の先生は、質問しても不機嫌な感じであまり詳しく答えてくれず悩んでいます。
 
彼女に、感染の事実を伝え謝罪したところ許してくれて、彼女も検査を受けてくれることになりました。

お忙しいところ誠に恐縮ですが、彼女のためにも何卒宜しくお願い申し上げます。
 
①参考症例:オーラルセックスで発症した硬性下疳
20161215.png
 

【回答】

今回の血液検査の成績は、TP抗体定量354.0U/ml(再検同値) RPR定量276.0R.U.(希釈再検済 20倍)であった。
 
上記ように血液検査の数値が、やや高値なのは今回、再感染したからだと考えます。
 
13年前に梅毒に感染して治療済ということですが、血液検査の成績は陰性にはなりません。
 
治療済の時点で梅毒の感染力がなくなったと考えてください。
 
②参考症例:口唇に発症した硬性下疳(性器外硬性下疳)
20161215_02.png
 
RPRは低値になっても、TP抗体の値は段々低値に向かってはいきますが、長期間(半永久的)陽性が持続し、特に再感染するとさらに高値になります。
 
これが、再感染の血液検査成績(結果)の特徴です。
 
しかし、これは検査成績上のことですから、今回、普通に駆梅療法を行えばなんの心配もありません。
 
③参考:昔の著名人には梅毒が多い!
20161215_03.png

貴男が受けていた性感染症の郵送検査は、その事業会社により検査方法が異なり、感度の違いがあるため限界が出てくる可能性があります。そのため、梅毒検査が陰性とでたのかもしれません。
 
そして、今まで、定期的に性感染症の郵送検査をして陰性だとすれば、今回は最後に検査をしてから感染したと考えられます。
 
厳密に言えばそれよりもさらに3〜6週間前に感染していた可能性もあります。
 
症状がなく血液検査を受けて、梅毒とわかったのですから、無症候梅毒となります。
 
第1期または第2期あるいは第1期から第2期の移行期と考えられます。
 
ご自分で感染機会や最後に検査をしてからの期間を考えてみましょう。
 
たとえ、感染時期が分からなくても、2016年の日本性感染症学会の治療ガイドラインに則った治療をすれば、何の心配もいりません。
 
アモキシリン250mg 6cap/1日 を4〜8週間、服用してください。
 
それすれば、梅毒の治療(駆梅療法)は終了です。
 
その後は、定期的に血液検査を受けて経過観察をしてください。
 
これからの、お二人の性の健康をお祈りいたします。

④参考:著名人のサロン文化は梅毒の温床!?
20161215_04.png


2016年12月15日

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