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『STI性感染症アトラス』 男性クラミジア性尿道炎

学研メディカル秀潤社(東京都品川区西五反田)より、『STI性感染症アトラス 改訂第2版』(160頁) が発刊されました。

発行日:2016年10月1日
編集;安元慎一郎・今福信一   定価:本体7,000円(税別)
8年ぶりの改訂!
性感染症に関する最新のデータと貴重なアトラスが満載されています。
 
①『STI性感染症アトラス』 改訂第2版
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私は、今回、分担執筆で荒川創一先生(三田市民病院 院長)と共著で【3】クラミジア感染症の中の 「2.男性クラミジア性尿道炎」(p.81)を担当いたしましたので報告いたします。

②【3】 クラミジア感染症 2.男性クラミジア性尿道炎
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③男性クラミジア性尿道炎の解説

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下記に「男性クラミジア性尿道炎」の解説をいたします。
 
男性クラミジア性尿道炎の多くは、感染機会後1~3週間で発症するが無症候に経過し、感染時期を特定できない場合もある。
 
症状は淋菌性尿道炎と比べ軽微で、軽い排尿痛や尿道の瘙痒感程度であり、主に漿液性の尿道分泌物が少量みられる(表A)、淋菌性尿道炎と主に異なるのは分泌物の性状で(図B)、黄色粘稠であれば淋菌性と推定する。
 
尿道分泌物のグラム染色で多核白血球内細胞質にグラム陰性双球菌を認めれば、淋菌感染症が確定するが、逆にその場合でも20~30%にクラミジア感染が合併していることを念頭に置く。
 
クラミジア性尿道炎の確定診断は初尿を用いて、核酸増幅法であるSDA法
(BDプローブテック クラミジア・トラコマチス ナイセリア・ゴノレア)、
 TMA法(アプティマCombo2 クラミジア/ゴノレア)、
 Taqman PCR法(コバス4800システム)あるいは
 Real-time PCR法(アキュジーンm-CT/NC)により行うが、前二者では淋菌も同時検索できる。
 
治療は、クラミジアに抗菌力を有するマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の中から薬剤を選択する
 
(➡p.78 クラミジア感染症の診断と治療を参照)
 
④A.クラミジア性尿道炎を淋菌性尿道炎と鑑別するポイント
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⑤クラミジア性尿道炎:B.クラミジア性尿道炎と淋菌性尿道炎との比較

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⑥淋菌性尿道炎:B.クラミジア性尿道炎と淋菌性尿道炎との比較

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2016年10月11日

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