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梅毒の血液検査時期に関して

20代の男性から梅毒の血液検査時期に関しての相談がありましたので報告いたします。
 
【相談内容】

お世話になります。私は20代の男性です。
 
梅毒の検査時期に関して教えてください。

梅毒の検査の時期につきまして、様々なサイトを見ているのですが、4週後、6週後、
 
はたまた2~3ヶ月経たないと正確な検査結果が出ないなど書かれており
 
どれが正しいんだろう?と少々混乱しております。

確実性が高いのはいつ頃となりますでしょうか?

よろしくお願い致します。

①築地の貝

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【回答】

貴男の言うように、梅毒の血液検査時期には難しい問題点があります。
 
現在、梅毒の血清診断には多くの医療機関で、通常、STS法とTPHA法を併用して総合的に判断しています。
 
梅毒に感染していれば、STS法の方は3~4週間で陽性になり、TPHA法は少し遅れて4~6週間で陽性となります。
 
ですから、感染機会から6週間以上経過してから、STS法とTPHA法の両方の血液検査を行い、両方が陰性であれば心配ありません。
 
両方が陽性であれば現在、梅毒に感染しているか、過去に梅毒になったことを意味します。
 
しかしSTS法が陽性で、TPHA法が陰性を示すと、梅毒の極初期を表す場合と、本当に 梅毒に感染しているかどうか、判断に苦慮します。
 
梅毒に感染していないのにSTS法のみが陽性を示すことがあります。
 
これを生物学的偽陽性反応(BFP)といいます。
 
BFPについては後述いたします。
 
その場合、TPHA法より鋭敏な梅毒血清反応検査であるFTA-ABS法を行い、
 
総合的に判断します。FTA-ABS法が陽性になれば、梅毒の感染を意味します。
 
またSTS法が陰性で、TPHA法が陽性を示した場合は、過去に梅毒になったことを意味します。
 
【生物学的偽陽性(BFP)】

 STS法では梅毒と関係なく、抗カルジオリピン抗体が出現する場合があります。
 
すると梅毒ではないのにSTS法のみ陽性を示すことがあります。
 
これを生物学的偽陽性反応(BFP)といいます。
 
BFPの頻度は陽性の10~20%といわれています。
 
例えば、癩,SLEをはじめとする自己免疫疾患,肝疾患,覚醒剤、妊娠、ウイルス感染症、麻疹、伝染性単核症、細菌感染症、ハンセン病、マラリア、ワクチン接種後 など、種々の疾患で生じてきますから診断には注意が必要となります。
 
さて少し専門的で分かりずらかったことをお許しください。
 
 
以上のことから、貴男は感染機会から6週間以上経過してから、STS法とTPHA法の両方の血液検査を行い、両方が陰性であれば心配ありません。
 
お大事になさってください。
 
②馬具

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2016年08月27日

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