泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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尖圭コンジローマはオチンチン(性器)のインベーダー!

『先生!オチンチンにイボができちゃった!痛くもかゆくもないんだけど!』
と言って来院してきました。
23歳のサラリーマン男性でした。
診断すると、ペニスの亀頭と包皮に鶏のトサカ状のイボがいくつかできていて、 尖圭(せんけい)コンジローマでした。

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によりできるイボの一種です。
人間の身体にできる“すべてのイボ”の原因はHPVです。
そのHPVは現在100種類近くが確認されています。
その中でも、尖圭コンジローマの原因となるのは主にHPV6型と11型で、 感染すると潜伏期間(数週間から8カ月)を経てイボができてきます。
潜伏期間が長いので、セックスパートナーが多い方は、誰から移されたのか分からないこともあります。

イボは性器およびその周辺にでき、 男性では亀頭、包皮、陰嚢、外尿道口および肛門周辺に好くできます。 女性では腟の入口、小陰唇、子宮腟部、および肛門周囲に好くできます。
イボは先の尖った乳頭状で独特の形をしており、鶏のトサカ状、カリフラワー状などといわれています。

尖圭コンジローマ自体は良性の腫瘍で、まれに自然に治ってしまうこともありますが、多くの場合、増殖していきます。
もしHPV16型、18型に感染すると癌(女性では子宮頸癌・男性では陰茎癌)になる恐れがありますが、 痛くもかゆくもないので、放置されることが多く、 また恥ずかしさから専門医を受診する機会を逃し、かなりイボが増えたり、大きくなってから受診するケースもあります。

ウイルスは賢いので、あまり症状を出さずに、おとなしくしかし、着実に侵略してきます。
気がついたらオチンチンが乗っ取られているかも…!!
尖圭コンジローマはまさにオチンチン(性器)のインベーダーともいえましょう!

ただし、イボができてもコンジローマとは限りません。
真珠様小丘疹(しんじゅようしょうきゅうしん)といって 男性では亀頭の冠状溝・女性では腟前庭から小陰唇にかけて左右対称にできる 乳頭状のイボで生理的変化で生じるものや、 フォアダイス状態(粘膜下の脂腺が透けて黄色に見えるイボ)などのイボもあります。
これらのイボを医師がコンジローマと誤診してしまうケースもあります。
心配な方は産婦人科や、泌尿器科、性感染症科などでチェックされることをお勧めします。

治療法は電気メス、レーザーメス、液体窒素(凍結)、抗癌剤の軟膏など色々ありますが それぞれ一長一短ですので、私たちはこれらの治療法を組み合わせて治療をしています。
少しでも心配な方や、気になる方は早く専門医を受診して安心を手に入れましょう。



2007年05月18日

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