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日本「性とこころ」関連問題学会 第8回学術研究大会

日本「性とこころ」関連問題学会
 
第8回学術研究大会が開催され参加しましたので報告いたします。
 
テーマ: 「豊かなセクシュアリティと心のうるおい」
 
会期:2016年6月18日(土)9:00~17:50
会場:ホテルメトロポリタン(東京・池袋)
大会長:齊藤益子(帝京科学大学医療科学部看護学科教授)
 
学会理事長 榎本 稔は次のように述べています。
 
近年、我が国における「性とこころ」の多様化には目を見張るものがあります。
 
かつて、西欧の伝統社会では「生殖に結びつかない性行動は全て悪徳とする」とされていました。
 
しかし、現代においては人間の性行動は何をもって正常とし、何をもって異常するか明確に二分できるものではなく、様々な議論が起こっています。

また、現代人の「性とこころ」を取り巻く現象を見るとき、例えば、晩婚化や非婚化、性嗜好、性犯罪や児童ポルノ、児童への性的虐待、日本でも市民権を少しずつ得てきた性同一性障害や同性愛、人間の性行動に関する脳科学の発展など、その様相は日々変化しています。
 
さらに、齊藤益子学会長は「大会長講演」で次のように述べています。
 
わが国では、性に関することはとかくネガティブに捉えられがちである。
助産婦は女性の身体のなかでも性器や乳房に対するケアを行う職業である。
その意味では常に性に正面から向き合っている。
 
そのため、日常的にも性をポジティブに捉え性は大切なもの、素晴らしいものであり、決して恥ずかしいものや厭らしいものではない、というメッセージを伝え、性を通して女性の幸福を支援している。
 
人間は男子・女子としての生を受け、二次性徴を経て男性・女性へと成長する。
パートナーを得て、日常生活に性の営みが加わり、新しい命を生み出し、親となって性の発達は大成する。
 
性の発達のなかで、男性は初回の射精から極度の快感を得て強い性衝動を知る。
 
女性は、男性ほど強い性衝動は無いが、相手との関係性から性の喜びが深まり、妊娠・出産・育児の体験を通して性は成就する。
 
豊かなセクシュアリティと心のうるおい
1)性に対する真摯な心を育てる
2)性の三側面 生殖性・連帯性・快楽性
3)心のうるおいは人生の大切な出会いから
 
 
また、私が関心を抱いたのは、基調講演でした。
 
演題:「多様な性のニーズにこたえる」
 
講師:京都大学大学院医学研究科客員研究員 早乙女 智子先生
 
その要旨の一部を示します。
 
食欲、睡眠欲とならぶ性欲は、生物の根本的な欲求であるにも関わらず、社会性において語られるため、素直に表現することが難しい。

一人でいるときに、仮に時間も食べ物も必要なだけあると仮定すれば、好きに食べ、好きに寝ることができるように、性欲を満たす方法を知っていれば、ソロセックス(マスターベーション、自慰)を行うことも可能である。

もちろん、性欲を充足するだけの人的・物質的マテリアルが存在すれば、いわゆる性行為を堪能することができるだろう。
 
性は生殖ニーズと、性欲の充足が複雑に絡み合い、生物的欲求と社会的欲求が混在する。
 
特に社会化された性の言説は、時代と共に変化しており、社会的な動物であるヒトは、生き物のように変化する時代という社会の雰囲気を読み取って、自分の立ち位置を見直しながら生きている。
 
生殖医療の進歩は、性欲にも人間関係にも影響を与えている可能性があり、可能性を広げた一方で、性の豊かさを損ねている可能性もある。
 
以下は省略します。
 
私の専門の「性感染症」とはあまり関係がない学会でしたが、沢山勉強いたしました。

①日本「性とこころ」関連問題学会 第8回学術研究大会
テーマ 「豊かなセクシュアリティと心のうるおい」
学会案内ポスター

2016062001.jpg

②齊藤益子学会会長とともに

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2016年06月19日

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