泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【尖圭コンジローマ】 > 「尖圭コンジローマについて」

「尖圭コンジローマについて」

30代前半の男性から尖圭コンジローマについて相談を受けましたので、報告いたします。

【内容内容】
お世話になります。30代前半の男性です。

先日( 1ヶ月半前)尿道口横(尿道下裂)に白か褐色の1ミリ以下の半球形の出来物ができました。
 
場所が場所なので泌尿器科を受診し視診して頂きました。
 
結果、尖圭コンジローマか脂肪の塊か半々との結果を頂きました。
 
その日に冷凍する方法で処置をされ、2週間後傷口を見せ完治との結果でした。
 
今現在傷口は跡が残っている状態です。
 
他の部位に何か出来でいる様子もありません。
 
脂肪の塊なら治療後このままでも良いのでしょうが、 尖圭コンジローマだった場合どうしたら良いのかわからず相談させて頂きました。
 
出来物自体も先生のHPにある様な物でもないのですが...

先生のご意見を聞かせて頂けたら助かります。

ご教授の程宜しくお願い致します。
 
 
【回答】
1ヶ月半前、尿道口の横(尿道下裂)に白か褐色の1ミリ以下の半球形の腫瘤を認めた。
 
泌尿器科を受診し視診してもらい、尖圭コンジローマか脂肪の塊か、その半々との結果であった。
 
当日、液体窒素による凍結療法を施行し、小腫瘤は無くなり、2週間後の創面の診察で治癒とのこと。
 
現在傷口は治癒跡が残っている状態である。
 
以上、貴男の臨床経過をまとめてみました。
 
ご存知のように、尖圭コンジローマは非常に多彩な様相を呈します。
 
出来る部位、大きさ、色彩(白色~黒褐色)などさまざまです。
 
貴男は尿道下裂があるのですか!?
 
もし尿道下裂がありますと、外尿道口が開いているので性感染症に対しての感染防御機能が低下いたします。
 
つまり感染に対し無防備になるということです。
 
もちろん、尖圭コンジローマにも感染しやすくなります。
 
ただ貴男の外尿道口周辺にできた小腫瘤が尖圭コンジローマなのか、他の良性腫瘤なのかは手術時に組織生検で病理組織検査をなさっていれば、分かった可能性があります。
 
ただ、脂肪の塊ということはありません。
 
恐らくその先生は、良性腫瘤という意味合いで「脂肪の塊」と表現されたのでしょう。
 
尖圭コンジローマの診断は視診が中心ですから、それは良いとしても、かなりの経験が必要となります。
 
診断が難しい場合は組織を生検すべきです。
 
確定診断には組織学的検査が必要です。
 
でも、現在治癒されているわけですから、ご心配ないと考えます。
 
術後、3か月以上経過して何か腫瘤が生じてこなければ安心できると思います。
 
また貴男に特定のパートナーがいらっしゃるのでしたら、一度、婦人科で診ていただきましょう。
 
そして、心に平和を勝ち取りましょう。
 
お大事になさってください。
 
【相談者から返事・内容】
お忙しい中ご返信ありがとうございます。

私自身も尖圭コンジローマだった場合もっと大きくなったり増えたりするのではないかと頭では分かっていたつもりなのですが。なかなか信じきれずにいました。

先生のおっしゃる通り半々という結果を出すのであれば組織生検にだしてもらえれば結果は分かったはずですし、今後の生活の仕方も大分変わったと思います。

妻もおります。
 
今回このタイミングで子宮頸がん検診がありましたので受診した結果何も異常は 無かったそうです。

ご相談に乗って下さりありがとうございます。

①幸せを呼ぶ青い蜜蜂

20150929_1.jpeg

②尖圭コンジローマ:亀頭冠に樹枝状の乳頭腫を認めます

20150929_2.png




2015年09月29日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.dr-onoe.com/mt/mt-tb.cgi/218

Entries

Archives