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『梅毒の診断と検査法について』 2.梅毒とは

今回は梅毒シリーズ(全6回)の2回目です。
 
2.梅毒とは
 
梅毒は潜伏期と顕症期を繰り返し進行する、Treponema pallidum (TP)による慢性の全身性感染症です。
 
典型例では外性器あるいは口腔、肛門より性交渉により感染し、感染後3週間程度で初期硬結や硬性下疳といった病変とリンパ節腫脹を生じます(第1期顕症梅毒)。
 
これらの病変は二次感染を伴わない場合、見た目の派手さとは裏腹に概ね無痛性です。
 
女性は自身の外性器を観察する機会が乏しい場合も多く、この無痛性の病変の出現に気づかないこともあると考えられます。
 
また、男性では病変に気づいていても、痛くもない性器に生じた病変に関して、恥ずかしさから受診をためらうことも多々あると考えられます。
 
第1期顕症梅毒を疑う場合には、感染初期の梅毒血清反応陰性の期間があることに留意する必要があります。
 
つまり感染初期では血清反応陰性であっても感染は否定できるものではありません。
 
また、感染期間から比較的時間がたってから発症するために性交渉に関する問診に自発性が乏しいことも考えられる為、性交渉歴に関しては心理面に配慮しつつも積極的に聴取する必要があります。
 
次回は、「3.病期による梅毒症状」について勉強いたします。
 
お楽しみに!

①男性初期硬結(冠状溝):初期硬結を認めることは稀です。

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②男性硬性下疳:二次感染を起こさなければ疼痛は認めません。

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③女性のクリトリス包皮付近に生じた硬性下疳。疼痛が無いのが特徴。

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④男性の下口唇に生じた硬性下疳(2か所)

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2015年09月15日

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