泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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“無自覚性病”に注意

無自覚性病に注意
2014年(平成26年)6月18日(17日発行)の
日刊 ゲンダイ に私の記事が掲載されましたので報告いたします。

無自覚性病に注意
ED治療薬バイアグラのジェネリック医薬品が発売され、「いつまでも現役」でいることに、より抵抗感がなくなったのでは?

しかし、気をつけたいのは性感染症だ。「チャンス」が増えれば、「リスク」も増える。
性感染症を数多く診ている宮本町中央診療所(神奈川)・尾上泰彦院長は、「性感染症には無症状のものもある。感染に気づいていない人は珍しくない」と話す。

無症状の最たるものが、性感染症の原因となる細菌に、咽頭が感染しているケースだ。

100%症状が出ないものも
「オーラルセックスで、クラミジア、淋病、ヘルペス、梅毒などに感染します。その中には、ほぼ100%、症状が出ないものもあります。見た目も変化がないので、視診だけでは分かりません。性感染症を専門に診ている医師でないと、性感染症があっても喉まで調べない。そもそも性感染症を

専門に診ている医師は少ない。だから、治療へとつながりにくい」
どの性感染症にも共通することだが、セックスパートナーの片方が性感染症にかかれば、もう片方も発症するリスクが高い。2人とも治療をしなければ、原因細菌のキャッチボールをし続けることになるし、ほかの人とセックスをすれば、感染が拡大していくことになる。

咽頭の場合なら、「性風俗店で客から女性従業員に感染その女性から自分に感染自分から妻へ感染、あるいは別の性風俗店の女性従業員へ感染」ということも十分に起こり得る。

性感染症は、女性に症状が出にくいものが結構ある。その場合は、男性の症状が発見のカギになる。「妻以外の女性とセックスしたために感染したから、妻には内緒で治療しよう」なんてことは、NG。

 検査はパートナーと二人で
一方に症状がなくても、「検査は2人で」が鉄則だ。
「世界的に最も多い性感染症クラミジアは、女性の7割が無症状といわれています。
ただ、症状が出ると、おりものが増えたり、不正出血、下腹部痛、排尿痛、性交痛を認める場合もある。
男性では、軽い排尿痛や尿道のかゆみを認め、尿道からは白っぽい水様性分泌物が出てきます。放置すると、菌の拡散に加え、女性は不妊症を、男性は前立腺炎や精巣上体炎を起こしやすくなります」

淋病も、女性は症状が出ないことが多い。男性は、尿道から黄色い膿が出て、排尿時に激しい痛みが生じる。

性器にはっきりとした病変がなくても、性器からウイルスを排出していて、セックスパートナーにうつす可能性があるのが性器ヘルペスだ。

「初めて感染すると、症状としては性器に小さな水疱が多数でき、それが破れるとただれや潰瘍になります。

女性は排尿時に激しい痛みが出ることも。性器ヘルペスの厄介な点は、一度感染すると、ウイルスが神経の奥に住み着き、免疫力が落ちた時などに何度も再発を繰り返すことです。

その都度、セックスパートナーに感染させる可能性が出てきます」

再発を繰り返す場合は、年単位で薬を服用する治療が必要になる。

感染から症状が出てくるまで時間がかかるのは、尖圭コンジローマや梅毒、HIVだ。

尖圭コンジローマは、性器や肛門の周りに、米粒大から指先ほどのイボができる。

「梅毒は、感染後23週間で小さな硬結ができて、それがただれて潰瘍になり、やがて約3カ月後には全身に皮膚症状が出てきます。HIV感染症は、エイズ発症前に薬さえ飲めば、HIV感染の段階で食い止められる時代になってきました」

感染しないことが大前提だが、もしもの時の必須知識として覚えておこう。

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2014年06月21日

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