泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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ウイルス抗原検査1ウイルス分離培養

今回は何種類かあるウイルス抗原検査のなかでも  『ウイルス分離培養(シェルバイアル法)』についてお話いたします。

この検査は、病変部位の感染性ウイルスの存在を証明できる、 感染症のゴールドスタンダードとなる検査法です。

ただし、感度(*1)は核酸増幅法には劣ります。

Vero細胞などのウイルス感受性細胞(*2)を培養し、採取した検体(*3)を接種して培養後、 細胞変性効果がみられればウイルスの存在を証明できます。

さらに、細胞変性効果がみられた部分を擦過し、モノクロール抗体を用いた 蛍光抗体法によりウイルス特異抗原(*4)を検出できるので、 単純ヘルペスウイルスHSV-1、HSV-2の型別判定も可能です。

個人施設で行うにはVero細胞などの単純ヘルペスウイルス感染症を培養しておく 必要があり、操作も煩雑であるため、日常診療での実施は難しいです。

検査会社に依頼可能ですが、保険適用ではないため高コストとなり、 患者さんにとっては負担となります。

(*1)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率
(*2)ウイルス感受性細胞:ウイルスが好み、ウイルスが増殖できる細胞
(*3)検体:検査の材料。人体から得られた組織の一部など。
(*4)抗原:免疫反応で、抗体を作り出す原因となる物質





2013年07月31日

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