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子宮頚がん予防ワクチン(後編)

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前回は、子宮頚がん予防ワクチンの種類についてご説明いたしました。
サーバリックスとガーダシルという2種類のワクチンがあり、それぞれ予防できるHPVの型が若干違うというお話でした。
今回は、一つ大きな注意事項についてお話したいと思います。
それは、ワクチンは100%子宮頸がんを予防できるわけではないということです。
サーバリックスを接種してもHPV16、18型以外の感染およびこれらによる病変発症の予防は期待できません。 また、ガーダシルを接種してもHPV6、11、16、18型以外の感染およびこれらによる病変発症の予防は期待できません。 そして、ワクチンはあくまで予防のためですので、接種前にすでに感染しているHPVを排除したり、すでに生じた病変の進行予防効果は期待できないのです。

また、ワクチンの有効性が示されている期間は限定されています。
ワクチンの十分な予防効果を得るためには、必ず3回接種してください。
サーバリックスは初回接種(1回目)、1ヶ月後(2回目)、6か月(3回目)に、 腕の筋肉内に注射します。
ガーダシルは初回接種(1回目)、2ヶ月後(2回目)、6か月(3回目)に、 腕の筋肉内に注射します。 3回接種することで十分な予防効果が得られるため、3回目まできちんと接種しなければなりません。

この際に注意しなければならないのは、3回とも、同じ種類のワクチンを接種するということです。1回目にサーバリックを接種した場合には、そのまま続けてサーバリックスを、1回目にガーダシルを接種した場合には、そのままガーダシルを接種するということですね。
1回目以降、2、3回目で他のHPVワクチンを接種した場合の予防効果は確認されていませんので注意が必要です。

また、ガーダシル接種直後又は接種後に、注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることが報告されています。 失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座って待つなど、 お医者さんから指示があると思いますので、それには従うようにしましょう。
(参考:MSDの資料)


2011年10月15日

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