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非特異的亀頭包皮炎

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 初夏の暑い日の午後、27歳の男性が受診してきました。
1週間前に結婚したばかりとのこと。
その3日後に オチンチンが腫れて、先から膿が出てきたというのです。

さっそく診察してみると、ペニスは仮性包茎であり
亀頭は包皮で被われている状態でした。
その包皮の先 (包皮輪)から黄色い膿がドロドロと出ています。

その状態を見た感じで、まず淋病を疑いました。
これは専門医でもそう思うでしょう。

しかし、包皮をめくって亀頭部を露出したところ、これが、 びっくり!
亀頭の粘膜と包皮の内板が真っ赤っかになっており、
黄色い分泌物にびっしり被われてまさにオチンチンはズルズルでした。
しかも尿道からは膿は排出されていません。

ここで淋病の可能性が一気にうすくなりました。

これが正に非特異的亀頭包皮炎です。
この原因微生物となるのは、 淋菌あるいはクラミジアではなく、
連鎖状球菌、ブドウ状球菌、 腸内細菌類、大腸菌などが引き起こす症状なのです。

本人は淋病だと思って受診してきています。

「淋病ではありませんよ!」「マジスカ?」
「亀頭包皮炎といって亀頭と包皮の粘膜の感染症です。
原因は雑菌です。セックスが誘因ですね」


確かにこのケースでは専門医が診察しないと、
淋病ではないのに淋病にされる可能性があります。
つまり診察時に包皮をめくれば、淋病でないことがある程度、想定できるのです。

医師がこの診察行為を行わないと、
臨床的にとりあえず淋病として治療されてしまう懸念があります。

確認のため尿検査で淋菌、クラミジアの遺伝子検査を行いましたが、
淋菌、クラミジアともに検出されませんでした。

この男性は1週間後に来院されたのですが、すっかりオチンチンは 良くなっていました。
めでたし!めでたし!

それではまた来週をお楽しみに!




2011年07月31日

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