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性器ヘルペスは皮膚病ではない?!(その2)

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前回、性器ヘルペスは皮膚・粘膜だけの病気ではなく、ウイルスが神経細胞内でも増殖する“神経の感染症”なので、皮膚・粘膜にある病変を抑えるだけでは、治療効果は十分ではないというお話をしました。
詳しくはバックナンバーをご覧ください。

性器ヘルペスの治療には内服薬の使用が効果的です。
内服薬は外用薬に比べて、表皮基底層の有効成分が高く保たれます。

ヒトの皮膚モデルを用いた抗ウイルス薬の試験測定値では、表皮基底層の抗ウイルス薬(アシクロビル)濃度は、外用薬よりも内服薬のほうが高く推移します。
抗ウイルス薬(アシクロビル)の外用薬では外用してから1時間後にピークを認めましたが、外用3時間後には表皮基底層の抗ウイルス薬(アシクロビル)濃度がかなり低下してしまいます。

それに反して、内服薬では内服3時間後の表皮基底層の抗ウイルス薬(アシクロビル)濃度は外用薬に比べて約5~8倍を示し、十分に治療効果が期待できるものでした。
しかも内服薬でなければ治療できない部分にも病変は生じます。
病変は外陰部だけでなく、子宮頸部、肛門、臀部、尿道など、肉眼では確認し難 い場所にも生じます。病変の大きさも肉眼ではほとんど見えないピンホールのようなものもあれば、外陰部全体に多発性に生じることもあります。

ですから、内服薬でなければ治療できない部分にもウイルスが排泄されているという考え方が必要です。

次回は現在の性器ヘルペス治療の問題点についてお話ししましょう



2011年02月06日

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