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尖圭コンジローマの予防ワクチンに関する質問あれこれ(3)

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以前の「尖圭コンジローマの予防ワクチン」のコラムについて、読者の方からいくつか質問が来ました。
過去2回の内容については、バックナンバーをご覧ください。
今回は別の質問についてご紹介しましょう。

いただいた質問は、パートナーが尖圭コンジローマになった男性からで、
泌尿器科では今のところ異常なしと診断されたが、今後、男性もワクチン接種を受けたら、HPVウイルスを無くすことができるか?というものです。

泌尿器科で診察を受けて、現在の状態で尖圭コンジローマが外陰部(ペニスなど)にできていないということは、臨床的には、大変喜ばしいことだと考えます。

しかし、そこに尖圭コンジローマの原因となるHPV(低リスクグループ)がいるか、いないかまでは分りません。ウイルスは目視では判別できないからです。

尖圭コンジローマの原因となる低リスクグループのHPVがいるかどうかの遺伝子レベルの検査もあります。

しかし、その結果、もしHPVの存在が分っても、それが原因で、将来、尖圭コンジローマが生じるかどうかも分りません。
また、逆にHPVの存在がないと分っても、将来、尖圭コンジローマが生じないという保証はありません。

研究施設では尿検査、精液検査で多くの男性にHPVが発見できることもあります。
ですから見つかっても、見つからなくても同じだと考えてよろしいでしょう。

ではHPVワクチン接種でこの“HPVを無しできるか?”ですが、これは難しい問題です。

近い将来、承認・発売されると言われている、4価ワクチン(Gardasilガーダシル)を接種すれば約80~90%に効果があるのではないかと考えます。

以上が私の見解です。皆さんのご参考になれば幸いです。



2011年02月06日

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