泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【尖圭コンジローマ】 > 尖圭コンジローマの予防ワクチンに関する質問あれこれ(1)

尖圭コンジローマの予防ワクチンに関する質問あれこれ(1)

以前の「尖圭コンジローマの予防ワクチン」のコラムについて、
読者の方からいくつか質問が来ましたので、今回はそれについてご紹介しましょう。
私の現在の考えですが、参考にしてください。

いただいた質問の一つ目は「既に尖圭コンジロームになって完治した状態でもHPV
ワクチン接種は受けられますか?」というものでした。

実は尖圭コンジローマ(以後CA)の完治とはどういう状態かは、大変難しい問題です。

臨床的には通常CAが治療後3か月以上、再発しない場合「治癒」としていますが、

6か月以上経ってからでも再発する場合があります。

ですから私は、完治とは「1年以上、再発しない場合」と考えております。

また、尖圭コンジローマ(CA)の原因となるヒトパピローマウイルス(以後HPVという)

の多くは低リスク型の6型、11型ですが、CAに罹った患者さんは、同時に他の型

(高リスク型を含む)のHPVに感染している可能性が30~50%あります。

2011年に日本で承認・販売予定である4価ワクチン(Gardasilガーダシル)は、

HPVの低リスク型(6型、11型)と高リスク型(16型、18型)に関連する疾患に予防効果があります。

従って、CAが完治しているのであれば、4価ワクチン(Gardasilガーダシル)を

接種すれば約70~80%以上に効果があるのではないかと考えます。

また現在、アメリカで臨床試験が行われている、9価ワクチンが近い将来、

日本で使用されるようになれば、CAの90%以上に予防効果が期待できます。

しかし現在、日本では、2価ワクチンは女児(11~15歳)に公費負担による接種制度が

拡がってきていますが、4価ワクチンについてははっきりしていません。

ですから接種を希望する場合は自費となり、少し高額となるでしょう。

他の質問は次回にご紹介します。



2011年01月05日

Entries

Archives