泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【Drの日常生活】 > 『院長!入院!手術!・・』報告

『院長!入院!手術!・・』報告

12月10日~12日まで福岡市のシーホークス・ヒルトンホテルにて日本性感染症学会が開催されました。
 
私は会長指名でランチョンセミナーを仰せ付かり、講演『尖圭コンジローマ 治療の実際』を行いました。
セミナーは自分としては楽しくやったつもりです。でも自己採点80点ぐらいかな。
 
さて、私の身体の問題ですが、この10年間悩んでおりました、足底の痺れと腰痛です。
今年に入りQOLが低下し、足底の痺れ、腰痛、ヨロヨロ感、バランス感覚の低下、長時間歩けない、 少し重たい荷物が持てない、転んでパソコンを壊したなどがあり、とうとう手術を観念いたしました。
 診断は腰部脊柱管狭窄症・腰椎変性すべり症です。
 
学会が重なり、大変忙しい中でしたが、学会の翌日、12月13日(月)川崎市立川崎病院に入院し、14日に手術をいたしました。
 
術式は腰椎後方椎体間固定術 ・腰椎後方除圧固定術です。
主治医の手術説明では、私の腰痛と下肢の痛み・痺れの原因は、第4腰椎と第5腰椎の椎体間が
すべり易い状態のために起きているということで、この滑りとずれ易さを治す為に、腰椎を固定する手術をするということです。
 
【手術は腰椎を後方から固定 (骨移植+固定材料使用) (骨移植は自分の削った骨を使用) する 腰椎後方固定術です。】
 
手術は14日(火)午前9時の予定でしたが、麻酔科から心房細動を指摘され、緊急術前検査として心臓エコー検査を施行いたしました。
心臓内に血栓がないことを確認したそうです。
 
いよいよ手術室に入室。午前9時30分より全身麻酔下(気管内送管)に手術は始まりました。
全身麻酔ですから私は何も覚えておりません。
 
術後、主治医から手術のお話をしていただきました。
手術体位はうつ伏せ状態でだそうです。先ず左からアプローチしたそうです。
 
高さはL4-5間の位置で正中より、やや左3cmの部位を縦に約3cmほど切開し、
口径約26mm大の開創器を挿入し下関節突起を目指します。
 
開創器は始めは小さいサイズから始め、徐々に大きくして最終的に口径26mmの筒状の器具を挿入するそうです。
筋肉を切らないように、筋膜を分け筋層を分け下関節突起に到達します。
 
術者は直視下に手術を進めます。
助手の先生は手術用内視鏡を挿入し、内視鏡をみながら手術をサポートします。
この内視鏡により創内が明るく見えるそうです。
手術はさらに、進行いたします。下関節突起と言う骨を丁寧に削り取り除きます。(削った骨は後で使います)
すると脊髄を包んでいる硬膜が見えてきます。

さらに脊柱管の狭窄部の周囲組織(靭帯など)を丁寧に取り除きます。
この手術操作が減圧(除圧)になるそうです。
また手術操作中、神経に殆ど触れないで手術は済んだそうです。
 
次にL4・L5間の椎体間の組織(いわゆる椎間板)を取り除きます。
その間隙(元の椎間板)に自分の削った骨をPEEKという素材ケージに詰めて埋め込み固定します。
 
そして腰椎L4・L5の椎体の上下(2か所)をチタン合金のスクリュー・螺子で固定します。
その上下のスクリューを固定軸(チタン合金)に固定します。これらの操作を左右に行います。
ですから4本のチタンスクリューと2本の軸が身体に挿入されているわけです。サイボーグ人間ですね。
 
これでも低侵襲手術だそうです。かなりマニアックな手術術式で日本ではまだあまり施行されていないそうです。
腰椎へのアプローチも筋肉を切断せずに筋膜を分けて到達します。これにより術後の回復も約7日ほど短縮されるそうです。
 
手術技術は進化しておりますが、つい最近までは、前方の腹側からアプローチしたそうです。
 
また術後は約1週間は寝たきりだったそうです。以前は術後は大変だったんですね。
手術中は麻酔下ですから、何も覚えておりません。いよいよ手術は終わります。
 
手術終了時、X線画像を用いて4本のチタンスクリューと2本の軸と椎体の位置関係を確認したそうです。
 
手術時間は約1時間50分ほどでした。
『尾上さん!尾上さん!手術おわりましたよー!分りますかーー!手術はうまくいきましたよー!』
と言う麻酔医からかけられた声でぼんやりと覚醒いたしました。
自分の部屋に戻ったのは丁度12時頃でした。
 
これから“痛みとの戦い”が始まるとは、まだ思っていませんでした。
覚醒してから徐々に痛みを感じ始めました。
 
ある程度、覚悟はしていましたが、いやはや、術後は予想していたよりつらい状態で、腰の痛みで一睡もできませんでした。
 
これは経験しなくては分りませんね。患者さん達はこうして痛みと戦っているんだと身をもって感じとりました。
それから自分の身体に管が4本も入っており、それが視界に入ってきます。
 
何時になれば、この管が取れるのだろうか。しっかりと患者の立場になりました。
また痛みで自分自身では少しも身動きできません。天井を向いたままの状態です。
 
つい最近までの手術では、術後はベットの下を向いて(うつぶせ状態)寝かされたそうです。
それを考えれば少しは楽かも。それでも長い長い1日でした。将来への不安が頭の中を駆け巡ります。
これからが”痛みとの戦い”と分かっています。しかも、いい患者でいようと思っていました。
 
しかしながら、またまた、尿道カテーテルも患者にとっては大変つらいもので、夜間になり残尿感が襲ってきました。
こうなると長い長い違和感がはじまります。これも我慢、我慢・・我慢・・もうダメ!
 
いたたまれず、もうギブアップです。とうとうナースコールのボタンを押してしまった。
幸いかどうかわかりませんが、ベテランの看護婦さんでした。事実、何故か安堵いたしました。
 
「すいません!尿道カテーテルの刺激で残尿感が強くて眠れません」
「分かりました。それではキシロカインジェリーを使いましょう」
 
我が息子(オチンチン)を触られるということは、泌尿器科医としは感慨深い(?)ものがありますが、そんなことを言っている場合、状態ではありません。「よろしくお願いいたします」しかありません。
 
しかも、 この看護師さん、かなり手際が良い感じがいたしました。アッという間のことでした。
 「これで少し楽になるといいですね」と看護師の暖かい一言。
 
確かに、しばらくして違和感が取れて、ウトウトしたかもしれません。感謝いたします。
それもつかの間、酸素マスクをしていますから、上を向いたままの呼吸、口腔内が乾燥する、
 
唇が乾きカサカサ、水が飲めない、うがいもできない、なにか口の中の違和感、臭いが気になります。口腔内に偽膜が張った状態です。
 
またまた、ナースコールし、口腔内のうがいを頼んだ。寝たまま、クチュクチュペーは辛いものですね。
こんなに長い長い夜は自分の人生では経験がありませんでした。
 
翌日、腰に挿入されているドレーン(管)から出血があり、400mlと聞き、更に不安が襲ってきました。
午前中はかなり辛い状態です。腰の痛みで自分では動けず、これでは退院は当分できないと思いました。
 
午後になりフラフラしながらも立位を強要され、支えられながら、痛みをこらえながら立ち上がりました。
目まいはしませんでしたが、しっかりと患者としての自分を自覚させられました。
 
でも午後になり、少しQOLが上がってきました。サポートされながらベットに座らされ昼食を食しました。
何を食べたかはまったく覚えていません。その後はまた・・・・・・・・・・


長くなって申し訳ございません。
本日は術後7日目。管はすべて取れ、フリー状態です。補助歩行器を使いどうにか歩ける状態です。
 
問題の足の痺れは、現在70%程度、取れています。でも腰は痛いですし、下肢のむくみ、下肢の重たい感じ、そして不安もあります。
 
これからはリハビリです。自分との戦いですね。年内はスロースローで大人しくしようと思っています。

でもやっとパソコンもやる気分になりました。術後の初メールです。ありがとうございました。
長いつまらない報告ですいません。おつきあいいただき、 ありがとうございました。




2010年12月23日

Entries

Archives