泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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症状がないクラミジアの悲劇

すっかり秋も深まった11月上旬に、
29歳で既婚の会社員男性が、私の診療所に受診してきました。

彼に受診の目的を尋ねると、「クラミジアの検査をお願いします」とのこと。
そこで私が
「では、パートナーの方がクラミジアになっていたんですか?」
とたずねると、彼はすぐさま答えました。、
           
「さすが先生、よく分りますね!そうなんです。
実は妻が妊娠し産婦人科に行ったらクラミジアが分ったんです」
          
「なるほど。こういうパターンが一番多いんです。
ところであなたは、奥さん以外の女性との交渉がありましたか?」

「あ・・・。」と彼はちょっと口ごもった後で
「お恥ずかしいことですが、3ヶ月ほど前に会社の同僚と、酔っ払った勢いでソープランドに行ってしまいました。魔がさしたとでも言うんでしょうか・・・」
と、告白しました。

クラミジア感染症は女性の70~80%は症状がでません。
男性でも50%は症状がまったくでません。
女性の場合の症状は、オリモノが増えたり、下腹部痛、不正出血、排尿痛、性交痛などを認めます。
男性で症状が出る場合は、感染1~3週間後、尿道から少量の分泌物、尿道のかゆみ、
違和感、不快感などを認めます。

この男性の場合、ソープランドで感染したクラミジアに症状が出れば、
病院に行って治療を受けることができたのですが、症状がでなかったばっかりに、
自分で感染に気がつかなかったのでしょう。
そして無自覚のうちに妻にクラミジアを移してしまい、妻の妊娠によってこの事実が発覚したわけです。

私が彼にこの推理を伝えますと、彼はもう彼は顔面蒼白。半分パニック状態でした。
その後、この男性の検査をおこなったところ、案の定クラミジアが検出されましたので、治療を行いました。

まさに、”君子危うきに近寄らず”。
彼はちょっとした出来心で、とんだ代償を払うはめになってしまいました。
事実を知った奥さまに、さぞかし絞られたことでしょう。
でも今頃は、立派なパパになっているかもしれませんね。

それではごきげんよう。


2010年11月17日

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