泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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【第75回泌尿器科東部総会】

開催日時:平成22年9月15日~17日
開催場所:宇都宮
演題: 「男性性器の状態を問う質問紙の妥当性の検討」
演者:国立感染症研究所細菌第二部 山岸拓也先生
共同演者:尾上泰彦

私のクリニックで施行した包茎のアンケートに関して、第75回泌尿器科東部総会に演題として出しました。
演題名は「男性性器の状態を問う質問紙の妥当性の検討」です。

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「男性性器の状態を問う質問紙の妥当性の検討」

国立感染症研究所細菌第二部 山岸拓也
宮本町中央診療所 尾上泰彦
飯塚クリニック 飯塚典男
国立保健医療科学院疫学部 今井博久、中尾裕之
国立感染症研究所感染症情報センター 大山卓昭、八幡裕一郎


【目的】
近年環状切除が性感染症に予防効果があるという研究がなれているが、日本ではこの分野の研究が乏しい。日本で研究をするに当たり、診察に代わり得る質問紙があれば有用であると思われ、男性性器の状態を問う質問紙の妥当性を評価した。

【方法】
対象は18歳以上の成人男性とした。
神奈川県の2クリニックで男性性器の状態を記した質問紙を診療前に患者に配布し記入、その後実際の医師の診察を同質問紙に記載してもらい結果を比較した。

【結果】
合計166枚が配布、回収された。
対象者の年齢は範囲が18~89歳で中央値が40歳であり、初診時の診断は尿路性器の疾患を持つ患者が約9割を占めていた。環状切除に関しては患者の申告と医師の診察はすべて一致していた。ペニスの状態は5段階で評価するとkappa係数は0.66(%agreement0.75)、包皮なし、仮性包茎、真性包茎という3段階に直して評価すると kappa係数は0.89(%agreement0.94)、また包皮なし、包皮ありという2択に直して評価するとkappa係数は 0.88(%agreement0.94)、感度90%、特異度98%であった。環状切除を16人(9.9%)の人が受けており、環状切除を受けていない146人では包皮なしが55人(37.7%)、包皮ありが91人(62.3%)でそのうち真性包茎が2人(1.4%)であった。環状切除を受けていた16人のうち4人で残存包皮が認められた。

【結論】
ペニスの状態と環状切除の有無を問う本質問紙は妥当である。



2010年05月24日

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