泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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HPV感染について(後編)

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今回は、HPVウィルスが引き起こすその他の病気についてお話いたしましょう。 

HPVは、子宮頸癌以外の病気を引き起こすことがあります。
少し専門的になりますが、高リスクの16型、18型で生じるのが、外陰上皮内腫瘍、腟上皮内腫瘍であり、低リスクの6型、11型で生じるのが、尖圭コンジローマという病気です。

そして 尖圭コンジローマ が、妊婦の体内で母子感染を起こすと、赤ちゃんが 再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)になることがあります。 
これは、妊娠している女性が、尖圭コンジローマを発症していると、出産するときに、産道で赤ちゃんにHPVが感染してしまう可能性があるということです。 

生まれてきた赤ちゃんがHPVに感染した場合、ごくまれですが、喉にイボができる 再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)を発症してしまうことがあります。 
この場合、声がかれたり、イボが大きくなることで呼吸困難になり、命にかかわる場合もあります。イボを取り除くため、頻回に何度も手術を繰り返すこともあります。 

腟内に尖圭コンジローマが多発している場合や、非常に大きな尖圭コンジローマでは、帝王切開が必要になることがあります。 
ですから、女性は定期的に子宮頸癌の検診を受けることが必要なんですね。

しかし、日本はこの検診率が世界的にみてまことに低く、寂しい限りです。
私の願いの言葉で、この回を結びたいと思います。 
「女性たちよ、良き人生を!」
(尚、MSD株式会社の資料を参考にいたしました)



2011年09月28日

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