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HIV検査、増える郵送検診

2015年(平成27年)10月5日(月) 読売新聞夕刊に掲載された記事を紹介いたします。

HIV増える郵送検診

顔合わさず「手軽」昨年7万7500件

エイズウイルス(HIV)感染の有無を調べる民間の郵送検査の利用件数が昨年、過去最多の7万7588件に上ったことが、慶應大医学部の加藤真吾専任講師(微生物学)らの調査で分かった。
数千円の負担で気軽に検査ができるのが人気だが、判定後のフォロー体制が不十分な業者あるなど、課題も多い。
「陽性」フォローない業者も郵送検査の件数は、調査を始めた2001年は約3600件だったが、年々増加している。
人気の背景には、時間的な制限がなく、他人と顔を合わせずに検査できるという手軽さがある。
利用者は2000~8000円程度で検査キットを購入。指先から少量採血して検査会社に返送すると、
数日から1週間程度で検査結果が出る。
結果は郵送やメール、インターネット上でパスワードを入力するなどして確認するという。
ただ、郵送検査で行われるのは、スクリーニング(ふるい分け)検査と呼ばれる1次検査。
「陽性」の結果が出ても、「疑陽性」で、実際は感染していない可能性があり、最終判断には、病院などで確認検査を受ける必要がある。
加藤専任講師によると、業者の中には、1次検査の結果を知らせるだけで、その後の対応は個人の判断に任せきりのところも多い。
動揺して自暴自棄になり、確認検査を受けないままの人が出てしまう可能性もあるという。
HIV検査は、保健所などの公的機関でも無料で匿名で受けられる。
医師が対面で結果を説明するため、説明内容が十分に伝わるメリットがあるが、曜日や時間帯が限定されているところが多い。
08年に年間17万7000件だった公的機関での検査件数はここ数年、13万~14万件台と伸び悩んでいる。
HIVの郵送検査は、00年ごろから扱う民間業者が出始めた。
今は10業者ほどあり、近年増えつつあるという。
加藤専任講師は、「郵送検査では検査結果の説明や相談が対面で行われず、十分な情報が検査を受けた人に伝わっていない可能性がある」と話し、必要な人がきちんと治療を受けられるよう、運用指針の整備の必要性を指摘する。
年間2万件弱の郵送検査を行っているアルバコーポレーション(大阪市)では、年30~40件ほどの「陽性」判定が出る。陽性だった人に確認検査を受けられる病院を紹介したり、相談に乗ったりして検査後のフォローに努めているという。
同社の萬田和志社長は「検査の安全性や信頼性を守るため、業界で基準をつくる必要がある」と話している。

HIV感染: 厚生労働省のエイズ動向委員会によると、昨年新たに報告されたHIVの感染者数は1091人、エイズを発症した患者は455人。
適切な治療を受ければ、エイズの発症を抑えることができるため、発症前に感染を早期発見するための検査が大切とされる。

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2015年10月09日

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