泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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エルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)

女性の性器ヘルペスの初感染時に、しばしば併発するエルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)について 勉強いたしましょう。

初感染時はウイルスに対する免疫がないため,臨床症状が激しく、発熱などの全身症状を伴うこともあり、疼痛、鼠径部リンパ節有痛性腫脹などを認めます。
特に女性では膀胱炎様症状、歩行障害をはじめ、排尿障害、便秘などの末梢神経麻痺を伴うこともあり、時に強い頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状を伴います。

男性では神経症状は女性に比して非常に少ないと言われています。

HSVにより髄膜脊髄炎が生じると、時にエルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)という排尿障害があらわれることがあります。
性器ヘルペスの初感染例では、HSV が上行性に仙骨神経根に直接進展し、限局性の髄膜脊髄炎が起き排尿障害などを生じ、尿意を感じない神経因性膀胱となり、カテーテルの挿入が必要となるケースもあります。

また、初感染例に限らず、再発例でも稀に無菌性髄膜炎に伴い、一過性に排尿括約筋の障害が生じ排尿障害(尿閉)が起きることがあります。

Elsberg syndrome は狭義には性器ヘルペスに併発する脊髄神経根炎に伴った尿閉をさし、より広義には尿閉を伴う無菌性髄膜炎全般を指すと言われています。

少し難しいですね。


①尿道内にカテーテル挿入
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②美しい桜
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2016年04月04日

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