泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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性器ヘルペス 臨床の最前線(その5)

それでは『実際の治療』についてお話します。
 
<重症、免疫不全者の場合>
点滴静注用アシクロビル:1日5~10mg/kgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて、7~10日間点滴静注します。
 
<初感染または初発の場合>
軽症、中等度 バラシクロビル : 1回500mg、
1日2回 5~10日間 経口投与します。
 
<再発の場合>
軽症、中等度ではバラシクロビル : 1回500mg、
1日2回 5日間 経口投与します。
 
再発時の治療法は次の三方法があります。
  1. Episodic treatmennt:発症後に抗ウイルス薬を投与する
    保険適応です。
  2. Patient-initiated treatment:前駆症状が出現した場合にすぐ抗ウイルス薬を投与する。保険適応なし。
  3. Suppressive treatment:再発抑制療法
    抗ウイルス薬を継続的に内服します。ただしシバリがあります。
ここで再発抑制療法について少しお話します。
再発抑制療法は、性器ヘルペスの発症を繰り返す患者に適用されます。おおむね年6回以上の頻度で再発する者を対象とされます。これは医師の裁量で決めることが可能です。
  • 健常人においては、
    バラシクロビル:1回 500mg、1日1回 約1年間内服します。 
  • 抑制療法中に再発が認められた場合
    バラシクロビル:1回 500mg、1日2回投与・5日間に変更します。治癒後は必要に応じ バラシクロビル:1回 500mg、1日1回投与の再開を考慮します。
性器外のヘルペスとして臀部と乳房に発症するヘルペスを紹介しました。
次回は『6.鑑別診断』についてお話します。
 
 
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2013年01月07日

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